2005 Fiscal Year Annual Research Report
寄生虫のゲノムタイピングによる降海銀ウナギの生息地域の解明
Project/Area Number |
17658091
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
望岡 典隆 九州大学, 大学院農学研究院, 助手 (40212261)
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Keywords | ウナギ / 寄生虫 / ウキブクロセンチュウ / ミトコンドリアDNA |
Research Abstract |
本研究は淡水域でウナギに寄生するウキブクロセンチュウ(Auguillicola)のmtDNAの塩基配列情報に基づき、本種の東アジア各地域における遺伝的変異を明らかにする。そして得られたDNAマーカーに基づいて、東シナ海を産卵回遊中の銀ウナギ鰾内の同線虫がどの地域個体群であるかを特定し、ウナギの生息地域を明らかにすることを目的とし、平成17年度は以下の研究を行った。 平成17年度は主に、日本の太平洋側(宮城、高知、宮崎)と日本海側・東シナ海側(新潟、鳥取、熊本、鹿児島)から天然ウナギを採集した。得られたウナギは体各部の測定を行ったのちに、生殖線(雌雄の判別)、耳石および鰾を摘出した。耳石は核を含む面が表出するまでダイアモンドペーストを用いて鏡面に研磨し、波長分散型マイクロアナライザー(EPMA)を用いて、ストロンチウムとカルシウムの含量を耳石中心核から縁辺部に向かって、数μm間隔で測定し、塩分環境履歴を明らかにした。その際、耳石にみられる年輪や輪紋間隔の変化、光学的変化との対応を検討し、ウナギの年齢、環境、生理、栄養状態等の推定を行った。上述の結果に基づき、個体毎に生活履歴を詳細に明らかにし、ウナギを河川生活型、内湾域生活型、河川内湾移動型、海域生息型の各生活履歴型に分類した。 摘出した鰾から寄生虫を取りだし、形態を観察と計測を行った。固定前に微分干渉顕微鏡で観察することにより、従来の形態形質以外に有効となる可能性をもつ分類形質を見いだした。現在、寄生虫からから全DNAを抽出し、ミトコンドリアDNA遺伝子のうち、D-loop領域、チトクロームb、12SリボゾームRNA、16SリボゾームRNAなどの領域をPCR法により増幅し、どの領域が最も有効なマーカーであるか、これらの塩基配列を解析中である。
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