2005 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫の感覚機能を利用したバイオセンサーに関する研究
Project/Area Number |
17658106
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
端 俊一 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (40003115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 龍彦 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (90002112)
片岡 崇 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (40231253)
岡本 博史 北海道大学, 大学院・農学研究科, 助手 (40322838)
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Keywords | 害虫 / 防除 / ヨトウガ / ハスモンヨトウガ / モモシンクイガ / 触角 / フェロモン / 電気生理 |
Research Abstract |
害虫の発生時期を予察して適期適量防除を行うことは,安全な食料生産と環境保全にとって非常に重要である。本研究は,農薬の適正使用のために害虫の飛来数を推定することができるバイオセンサーの開発を最終的な目標として,メスの放出する性フェロモンを,オスの感覚機能(触角)を利用して電子的に検出する手法を開発することを目的としている。現在,害虫の発生予察にはフェロモントラップが利用されているが,本研究は,これに代わるセンシングデバイスの基礎研究と位置づけられる。 平成17年度においては,下記の実施結果が得られた。 (1)北海道大学農場内に発生する農業害虫をフェロモントラップにより捕獲調査した結果,畑ではコナガ,ヨトウガ,ハスモンヨトウガ,果樹園ではモモシンクイガ,リンゴカクモンハマキの発生が確認された。捕獲された害虫の発生数,体長および触覚の大きさを検討した結果,ヨトウガ,ハスモンヨトウガ,モモシンクイガを研究対象害虫とすることにした。 (2)対象害虫としたヨトウガ,ハスモンヨトウガ,モモシンクイガの触角について,電子顕微鏡で観察した。この結果,これらの触角上にフェロモンの受容機構とされている毛状感覚子の存在が確認された。 (3)オスの触角に電極を挿入し,触角の電位変化からフェロモンに対する応答を取得するための実験システムの構築を行った。実験室内の交流電源に起因するノイズの低減対策方法,触角から発生する電位レベルの特定とその増幅率などについて検討した。この時,フェロモンは,メスのフェロモン腺を触角に近づけることによって与えた。 (4)実験システムの性能の検証を行った。この時,生きたヨトウガ,ハスモンヨトウガの供試は時期的に実現できなかったため,カイコガを供試して,触角からの生体電位の取得を試みた。実験システムの問題点が明らかにされたので,平成18年度ではこの改良を行う。
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