2005 Fiscal Year Annual Research Report
非線形力学系の機械構成要素を考慮した時系列解析と理論モデルの提案
Project/Area Number |
17658109
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 英二 九州大学, 大学院農学研究院, 教授 (00184739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 健 九州大学, 大学院農学研究院, 教授 (50117272)
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Keywords | コンバイン / 刈取部の振動特性 / ウェーブレット解析 / バランスウェイト / 位相軌道図 / 準周期振動 / 衝突振動 / リカレンスプロット |
Research Abstract |
本年度は、実機のコンバイン刈取部を用いて、水平方向の振動加速度値を測定した結果より刈取部の振動特性を検討した。刈取部の振動では、クランク車駆動周期以外の周波数帯が顕著に確認された。そこで、時間周波数解析の代表的手法であるウェーブレット解析のオリジナルプログラムを開発し解析を行った。解析の結果、刈取部の振動低減技術として用いられるバランスウェイトの取付位置の違いによらず、定常的な駆動周波数帯と複雑な変動を示す駆動周期外の周波数帯に分解することができ、各周波数帯の時系列波形を抽出した。駆動周波数帯は、バランスウェイトの配置によらず定常的であり、位相軌道図を用いた振動特性の評価では、準周期振動が確認された。また、非定常的であった駆動周期外の周波数帯でもリカレンスプロットを用いた解析においては規則性が確認された。さらに、各周波数帯の時系列を軸にした状態空間を構築した結果、駆動周期以外の振動が刈取部の動力伝達機構であるスライダクランク機構のリンクアーム-刈刃間で生じる衝突振動であることが示唆された。また、上記解析結果から刈取部の力学モデルを構築するため、刈取部のスライダクランク機構部各点を質点系として表現し、モデル化を図った。本モデルは、刈取部の刈刃駆動系の基本モデルであり、リンクアーム-刈刃間に衝突振動モデルを導入することで、実機の刈取部の振動特性を表現しようとするものである。来年度は、本モデルを用いた振動シミュレーションを行い、刈取部の振動低減化に向けた設計パラメータ(バランスウェイトの配置、クランク回転数・回転半径等)の評価を行う。
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