2005 Fiscal Year Annual Research Report
施設内高品質作物生産のための高頻度換気による蒸発散および光合成促進に関する研究
Project/Area Number |
17658110
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Research Institution | National Institute for Rural Engineering |
Principal Investigator |
奥島 里美 独立行政法人農業工学研究所, 農地整備部, 室長 (10373226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐瀬 勘紀 独立行政法人農業工学研究所, 農地整備部, 上席研究官 (80373223)
水谷 孝一 筑波大学, 大学院システム情報工学研究科, 教授 (50241790)
池口 厚男 (独)農業・生物系特定産業技術研究機構, 畜産草地研究所・畜産環境部・畜産環境システム研究室, 室長 (10222415)
石井 雅久 独立行政法人農業工学研究所, 農地整備部, 主任研究官 (10343766)
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Keywords | 空気振動 / 蒸発散 / 炭酸ガス / トマト / 苗 / 培地 / 栽培 / 風速 |
Research Abstract |
まず、空気振動発生装置として、振動周期を2.5〜50Hz、ストロークボリュームを0〜1000ccで可変調節できる装置を試作した。これに、0〜20cmH_2Oでの加圧や0〜15L/minでの通気ができる機能を付けた。また、通気に炭酸ガスを一定量混入できるようにした。これに容積30Lの植物栽培用密閉容器を組み合わせてシステム化した。 次に、密閉容器内の2種の培地(バーミキュライトとハイドロボール)からの蒸発量を測定した。15L/minの通気のもと、ストロークボリューム約200ccで0,2,5,10,15,20,24Hzの異なる空気振動を与えた。その結果、20Hzの空気振動における蒸発抵抗が最も小さかった。0Hzで蒸発抵抗は最大であった。 0,5,15,24Hzの異なる空気振動を与えた場合の草丈約10cmのトマト苗からの蒸散量も測定した。この場合の蒸散抵抗も培地からの蒸発抵抗と同様の傾向を示し、15Hzで最小であった。次に5,24Hzが小さく、0Hzが最大であった。これは、空気振動により容器内に共振が発生し、その結果、風速が0<5,24<15Hzとなったこととほぼ対応していた。蒸散抵抗は風速の-0.5乗に比例していた。 また、炭酸ガス濃度の変化も測定し、風速が小さい場合は苗による炭酸ガスの吸収量は蒸散量に比例し、高風速ではほぼ一定となることを確認した。 なお、培地の場合も蒸発抵抗は風速の-0.5乗に比例したものの、わずかながら、振動数によって比例線からのずれが見られた。これは振動による境界層領域での空気撹拌の違いによるものと推察された。ただし、苗の場合は植物体自体の揺れが発生するため、培地のようなずれは認められなかったと考えられる。 以上より、空気振動により密閉容器内に効率的に風速を発生させ(本装置では15Hz付近)、蒸発散を促進することが可能であると考えられる。
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