2005 Fiscal Year Annual Research Report
乳牛の放牧飼養における草地管理への野外観測用可視・近赤外分光計測器の応用
Project/Area Number |
17658112
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中辻 浩喜 北海道大学, 大学院・農学研究科, 講師 (90217761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 誠司 北海道大学, 大学院・農学研究科, 教授 (20112576)
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Keywords | 放牧地 / 草量 / 植生 / 非破壊的測定 / 可視・近赤外分光放射計 / ポータブルスペクトロメータ / 分光反射率 / 回帰式 |
Research Abstract |
これまで、放牧草地の草量や植生等の草地構造の検討は、コドラートを用いた刈取り法など、多大な労力を必要とする直接測定で行ってきた。本研究は、比較的近距離から地表面の物体の350-1050nmの分光反射率測定することができる携帯型の機器である野外観測用可視・近赤外分光放射計(ポータブルスペクトロメータ)を用いて、非破壊的に放牧草地の草地構造を評価しようとするものである。すなわち、草地構造のパラメータとポータブルスペクトロメータで測定した分光反射率との回帰式を作成し、草地構造の簡便な調査法を確立することを目的とする。 本学生物生産研究農場内の0.66ha乳牛放牧地を3つ用い、放牧強度および放牧開始時草高の組み合わせが異なる3つの試験処理(HL:6.1,15、HH:7.6,15、およびLL:6.1頭/ha,8cm)を設定し、それぞれ、4、5および4頭の泌乳牛を5月から10月まで1日5時間定置放牧した。これらの草地において、2週間間隔で各供試牧区内5点でポータブルスペクトロメータを用いて分光反射率を測定した。同場所に50×50cmのコドラートを置き、草高、イネ科・マメ科および雑草の植被率、イネ科分げつ密度およびマメ科茎数密度などを測定した後、刈り取り法により現存草量を測定した。 結果として、全放牧期間を通じて180点の草地構造とその分光反射率のデータセットを得た。今年度実績は、回帰式を作成するための基本データ収集が主であったが、草地構造と各波長での分光反射率との関係について、以下の傾向が認められた。 1.草量が多いほど480〜580nm(青緑〜緑〜黄緑)の波長の反射率が大きい。 2.枯死物が多いと580〜695nm(黄〜橙〜赤)の波長の反射率が大きい。 3.ほぼ700nmを境に反射率は急激に上昇し、赤外部(750nm以上)での草地構造の違いによる反射率の差は、可視部のそれにくらべ非常に大きい。
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