2005 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類代謝特性支配因子としての一酸化窒素(NO)-家禽生産機能開発の基盤-
Project/Area Number |
17658118
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秋葉 征夫 東北大学, 大学院・農学研究科, 教授 (30005631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 幹 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (20250730)
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Keywords | 一酸化窒素 / 糖代謝 / インスリン / 骨格筋 / 鶏 |
Research Abstract |
本研究では、高血糖・インスリン抵抗性などの鳥類特異的糖代謝特性を支配する要因の一つは一酸化窒素(NO)であるとの仮説を、鳥類の細胞内代謝特性とNO応答の特異性から明示することを目的とする。今年度は、NO供与体存在下での、骨格筋のグルコース輸送能およびインスリン応答性をin vitroおよびin vivoで測定し、鶏糖代謝に対するNOの関与を明らかにすることを試みた。 (1)NO供与体投与鶏の代謝変動 まず、非放射性Deoxyglucoseを用いた、鶏グルコース輸送能測定系を作成した。次に、NO供与体(NOC12)を2週齢の鶏に0.375〜5mg/kgで投与すると、血中NO濃度は投与量30分後に投与量依存的に増加した。そこで、NOC12 1.125mg/kg投与後30分の骨格筋グルコース輸送能を測定したところ、長肢伸筋(EDL)におけるグルコース輸送能がNOC12投与区で対照区に比べ有意に増加した。すなわち、鶏でもNOが骨格筋グルコース輸送に関与していることが明らかとなった。 (2)鶏骨格筋組織培養系におけるNO供与体添加の影響 1週齢ブロイラーヒナのEDLを採取し、KHB buffer中で組織培養した。この培養系に、NO供与体(NOC5)を200μMまで添加したが、グルコース輸送能に変動は認められなかった。よって、現時点では鶏における骨格筋グルコース輸送に対して、直接的な作用は小さいものと推定された。しかし、組織培養でのグルコース輸送は筋肉の厚みなども考慮しなければいけないため、今後は、細胞培養系も用いて再検討する必要がある。 (3)NO存在下におけるインスリン応答性 上記のin vivoおよびin vitro実験系で、インスリン存在下におけるグルコース輸送系の応答を観察したが、NO供与体の影響は認められなかった。これは、哺乳動物とは異なる特異性である。すなわち、鶏のインスリン応答性の特異性(インスリン抵抗性)は、NOに対する特異性とも関連している可能性が示唆された。
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