2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規ペプチドグレリン、ニューロメジン類蛋白質の生理機能に関する研究
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17658132
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
村上 昇 宮崎大学, 農学部, 教授 (80150192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 桂子 宮崎大学, 農学部, 助教授 (90315359)
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Keywords | グレリン / ニューロメジンU / 摂食 / 妊娠 / 成長 / 新規ペプチド |
Research Abstract |
1、本研究では、妊娠中の母親のグレリンが胎児の成長への関与について検討した。まず、グレリン受容体(GHS-R)のmRNAが胎児14日令の各組織において発現していることが明らかになった。GHSRの抗体を用いた免疫染色においても皮膚、脊髄、骨、舌などに強い免疫陽性細胞が認められた。妊娠14日から分娩までの約1週間、毎日グレリンを母親に投与すると、生理食塩水投与に比べ、分娩時の新生児体重が有意に増加した。一方、グレリンで受動免疫した母親においては分娩時新生児体重の減少が認められた。すなわち、妊娠母親の血中グレリンの中和は胎児成長を抑制することが判明した。妊娠14〜21日までの胎児血中にはアシルグレリンとデスアシルグレリンが検出され、デスアシルグレリン濃度は母親よりも高い値を示した。また羊水中に高濃度のデスアシルグレリンが検出された。グレリンは胎児皮膚の培養において^3H-チミジンやBrdUの取り込みを増加した。一方、母親へのグレリン投与において胎児の下垂体GH mRNAの増加は認められなかった。以上の結果は、グレリンが妊娠中の母親から胎児へ移行し、胎児の各組織のGHSRに結合し、細胞増殖を誘起することによって胎児の成長へ寄与している可能性を強く示唆している。 2、我々は先に、オーファン受容体FM3に結合する内因性リガンドがニューロメジンU(NMU)であること、このNMUは強い摂食抑制作用を有することを報告した。今回、NMUのノックアウアウトマウス(NMU-KO)を作成し、その観察において、このマウスの行動が緩慢であることを見出した。そこで、NMU-KOマウスとワイルドマウスの侵害性反射について比較した。その結果、ホットプレート(58度)テストおよびホルマリンテストにおいて、熱反射や痛覚反射機能がKOマウスで低下していることが判明した。逆にワイルドマウスにNMUを脳室内投与すると熱反射も痛覚反射も促進された。NMUの脳室内投与後に神経活性マーカーのcFosを調べてみると、視床下部、脳幹、および脊髄後根に多く発現した。NMU mRNA発現はホルマリン投与後に脊髄で認められた。以上の結果、NMU-KOマウスは環境への適応能力が低下しており、逆にNMU投与は反射機能を亢進することから、NMUが反射や環境への適応に重要な役割を演じているものと推測された。
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Research Products
(14 results)