2006 Fiscal Year Annual Research Report
アレルギー性疾患の効果相における傷害臓器の決定に関する分子メカニズム
Project/Area Number |
17658142
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
林 俊春 山口大学, 農学部, 教授 (90111484)
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Keywords | アレルギー / 気管支炎 / 鼻炎 / Th1 / Th2 / 自然食品 / 乳酸脱水素酵素ウイルス / 病態 |
Research Abstract |
本課題に関連した成績の概要は以下のとおりである。 アレルギー性疾患には肥満細胞とIgEを中心とした即時型反応とヘルパーT(Th2)細胞と好酸級を中心とした遅発型反応がある。一方アレルギーの発症には遺伝的素因の他に環境因子の役割が大きく関与している。さらに環境因子の中で,食生活や感染性因子の役割が注目されている。しかしながらそれらと,病態との関連はほとんど理解されていない。今回は以下の2点を明らかにした。 マウスに卵白アルブミン(OVA)で,遅発性アレルギー性気管支炎・鼻炎を作製する。この実験系に,[1]感作前に自然食品であるクロズもろみ末を投与する。[2]アレルゲンの(1)感作、(2)チャレンジ時に,乳酸脱水素酵素ウイルス(LDV;宿主はマウスのみに持続感染,標的細胞はマクロファージのみ,臨床病理学的変化を起こさない)を感染させる。{1}と{2}の処置により遅発性アレルギー性気管支炎・鼻炎の発現がそれぞれ抑制された。そのメカニズムは[1]では,Th1反応が誘導される。[2]では,(1)感作時のLDV感染は、本ウイルスが抗原提示能を低下させる事により、Th2型の免疫が成立せず,病態を軽減させる。(2)チャレンジ時のLDV感染は,既に成立したTh2型の反応をTh1型反応を惹起させる事により,Th2反応を抑制し,その結果病態を軽減する。 以上の成績は,[1]自然食品による病態軽減が可能である事と[2]ウイルス感染によって,アレルギー性炎症が抑制される場合その感染の時期により,そのメカニズムは異なる事,さらに,呼吸器上皮に感染しない持続感染ウイルスの生体の免疫変調によるアレルギー性疾患の抑制のメカニズムの解析に優れたモデルとなる事も示唆された。
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