2005 Fiscal Year Annual Research Report
家畜ふん尿の堆肥化に伴う腐植物質の生成と機能-とくに水溶性画分の評価-
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17658145
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
谷 昌幸 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (00271750)
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Keywords | 家畜ふん尿 / 堆肥 / 腐植物質 / 腐植化 / 水溶性腐植酸 / 光学的特性 |
Research Abstract |
本研究では、乳牛および肉牛糞尿を主原料とする堆肥について、とくに野外での堆肥化試験で試作した堆肥や一般農家が製造した堆肥を対象に、腐植物質の量と質を調べ、堆肥化および腐熟化の程度が異なる糞尿堆肥から、アルカリ抽出および水抽出される腐植酸の量および光学的特性、それらから予想される堆肥の機能などについて明らかすることを目的とした。その結果、牛糞尿堆肥には、糞や敷料などの堆肥原料に元々含まれていた腐植様物質と、堆肥化に伴って新たに生成された相対色度の高い(黒色味が強い)腐植物質が存在し、堆肥の腐熟化に伴って一次的な腐植物質の減少と二次的な腐植物質の増加が同時進行的に起こると考えられた。また、相対色度の高い腐植物質の生成は、水によって堆肥から抽出される画分において顕著に反映された。堆肥から抽出した腐植酸の光学的特性を調べた結果、腐熟化が進行していない堆肥では、アルカリ抽出した腐植酸でリグニンに由来する構造の寄与が顕著に認められた。堆肥の腐熟化の進行に伴って、リグニンに由来する構造は減少し、カルボキシル基や多糖類に由来する構造が増加した。この特徴はアルカリ抽出よりも水抽出した腐植酸でより顕著であった。以上のことから、本研究で対象とした牛糞尿の堆肥化と腐熟化の進行に伴う"腐植化"とは、「一次腐植酸の減少と堆肥化に伴う二次腐植酸の増加が同時進行的に起こる変化であり、腐植物質の重縮合反応の進行と光学的特性の変化、および腐植物質の構造変化を伴う」と定義された。アルカリ抽出と水抽出の違いは、腐植物質の溶媒への溶解性、つまり分子量、親水性ないし疎水性構造の割合、その他の官能基構造などの違いに起因している可能性がある。さらに、水溶性腐植物質を用いた植物栽培予備試験結果から、水溶性画分が植物生育への影響を及ぼしている可能性が示唆され、これらについて詳細な検討が必要であると思われた。
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Research Products
(1 results)