2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17659019
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
武智 昌幸 近畿大学, 薬学部, 助教授 (00140343)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八木 秀樹 近畿大学, 薬学部, 講師 (40250740)
益子 高 近畿大学, 薬学部, 教授 (30157200)
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Keywords | 強心配糖体 / 抗癌作用 / モノクローナル抗体 / ビオチン化 / ジギトキシン |
Research Abstract |
抗癌作用をもつ天然物を検索する過程で、digitoxin(以下、DTXと略す)などの強心配糖体に、ヒト白血病細胞などに対する細胞毒活性を見出した。そこで、癌細胞のどういう成分と相互作用するかを検討するために、まず、DTXに対するモノクローナル抗体を作製し、それをビオチン化することによってDTXで処理した細胞におけるDTXの分布を調べることにした。予備実験として、抗体によるDTXの細胞毒性の中和効果を確認したが、予想に反して、ビオチン化抗体では逆にDTXの細胞毒性を増強した。このことは、DTXとそのビオチン化抗体を併用すれば、DTX単独よりも効果的な抗癌剤が可能であることを示唆しており、今回の萌芽研究の眼目でもある。しかし、今年度は抗体産生細胞(ハイブリドーマ)の調子が悪いのか、抗体産生量が少なく、抗体を精製することに難航している。何とか手持ちのビオチン化精製抗体を用いて、ヒト白血病細胞のHL60に対するDTXの細胞毒性増強効果は確認できたが、今年の目標である、各種の癌細胞に対する抗癌作用の増強効果はまだ、検討できていない。早急に、抗体を精製しなければならない。以上の実験と平行して、DTXが癌細胞のどのような成分と相互作用をするか検討するために、癌細胞を界面活性剤で可溶化してから、DTXカラムを用いたアフィニティクロマトを行い、SDS-PAGEで、DTX親和性分画をゲル内消化し、MASSにかけることにより、DTXがチュブリンと相互作用している可能性が判明したので、DTXの抗癌作用は細胞分裂阻害に基づくのかもしれない。一方、DTXは心筋の細胞膜のNa,K-ATPaseを阻害して、強心作用を示すと考えられており、DTXの抗癌作用もNa,K-ATPase阻害に基づくと考えられたが、予想に反する結果となった。今後は、DTXの抗体精製を急ぎ、当初の目標をクリアすると共に、DTXと相互作用をする細胞成分を検索したい。
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