2006 Fiscal Year Annual Research Report
胎児脳のグリコサミノグリカンによる神経幹細胞の分化と神経突起伸長の分子メカニズム
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17659020
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菅原 一幸 北海道大学, 大学院先端生命科学研究院, 教授 (60154449)
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Keywords | コンドロイチン硫酸 / デルマタン硫酸 / 神経突起 / 硫酸基転移酵素 / perineuronal net / プレイオトロフィン / 肝細胞増殖因子 / cMet |
Research Abstract |
成熟した脳の神経細胞の多くは、神経細胞周囲網(perineuronalnet, PNN)と呼ばれる特殊な構造体で覆われている。PNNはシナプス回路が構築された臨海機の終わり頃から形成されるマトリクスであるが、そこに存在するプロテオグリカンの構造や機能はほとんど研究されていなかった。今回、そこに存在するコンドロイチン硫酸(CS)プロテオグリカンを効率よく、生理緩衝液に異なる可溶化剤を添加することによって、性質の異なるプロテオグリカンを段階的に抽出する条件を見いだし、その成果を論文として発表した。 マウス脳の発達に伴うCSとデルマタン硫酸(DS)の合成に係る種々の硫酸基転移酵素の発現をin situ hybridizationで調べ、DSの合成に係る4-硫酸基転移酵素の小脳での強い発現を見いだした。また、生合成産物であるCS/DSの組織における濃度と二糖組成を化学分析して調べた結果、全脳と比較して、小脳での特徴的な二糖組成と全脳よりは高いイズロン酸含量を確認した。即ち、小脳の発達時期において、特にiB unit[IdoUA(2-O-sulfate)-GalNAc(4-O-sulfate)]の含量が高くなることが判明した。 サメ肝臓からCSとDSの混成鎖を単離精製し、固相化した基質上でマウスの海馬ニューロンを培養し、強い神経突起伸長促進活性を見いだした。その活性はプレイオトロフィンおよびその受容体であるanaplastic lymphoma kinase、肝細胞増殖因子(HGF)、およびその受容体であるcMetに対するいずれの抗体によっても阻害された。これらの結果によって、CS/DS混成鎖が微量の増殖因子を捕捉し、神経細胞に提示して、突起伸長を促進していることが判明した。さらに、同様の活性発現のメカニズムをブタ胎児脳から単離したCS/DS混成鎖についても確認し、その成果を論文として発表した。
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Research Products
(4 results)