2006 Fiscal Year Annual Research Report
プリオンへの感染および異常型プリオン蛋白質の産生におけるスフィンゴ糖脂質の役割
Project/Area Number |
17659024
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
萩原 健一 国立感染症研究所, 細胞化学部, 第一室室長 (40192265)
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Keywords | プリオン病 / 感染症 / 脳神経疾患 / 生体分子 / 蛋白質 / 脳・神経 |
Research Abstract |
マウス・神経芽腫細胞(N2a細胞)をヒツジscrapieプリオンに暴露させて得られたプリオン感染細胞(=ScN2a細胞)は、内在的に発現する正常型プリオンたんぱく質(PrP^C)を異常型プリオンたんぱく質(PrP^<Sc>)へと変換する。先行研究および前年度までの本研究において、糖脂質生合成酵素に対するある種の阻害剤をScN2a細胞に作用させると、PrP^CからPrP^<Sc>への変換が抑制されることがわかった。また、確証には未だ至らぬものの、ScN2a細胞を用いたノックダウン実験から、特定のガングリオシド(糖脂質)が、PrP^CからPrP^<Sc>への変換に関与している可能性が得られた。そこで本年度は、糖脂質の分布・含量の変動がPrP^<Sc>の産生に与える影響をin vivoにて解析することを目的として、ガングリオシド生合成酵素を破壊したノックアウト・マウス2系統を入手し、繁殖後のノックアウト・マウスに対してプリオン(マウス馴化scrapieプリオン)を脳内ないし腹腔内に接種した。現在、この感染実験の経過を観察中である。なお、研究代表者らの過去の実験データによれば、対照群として用いた野生型マウスは、本実験のプリオン投与量において接種後の約180日目(脳内接種)ないし約300日目(腹腔内接種)にプリオン病の末期症状を示す。よって、対照群およびノックアウト・マウスの経過観察は、今後ほぼ1年間(本研究期間の最終年度末まで)継続する。一方、本研究においては、細胞のコレステロール含量に着目した研究も並行して行なった。その結果、ScN2a細胞におけるPrP^<Sc>の産生が、24-dehydrocholesterol(24-DHC)還元酵素の阻害剤であるU18666A、および7-DHC還元酵素の阻害剤であるAY-9944により抑制されることを見出した。
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Research Products
(1 results)