2005 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウムカスケード関連遺伝子の導入による高生産性薬用植物群の作出
Project/Area Number |
17659034
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
黒崎 文也 富山大学, 薬学部, 助教授 (70143865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 恭司 富山大学, 理学部, 教授 (70200714)
杉山 立志 富山大学, 薬学部, 助手 (30377270)
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Keywords | 遺伝子導入植物 / 植物二次代謝能 / カルシウムカスケード / 高生産性植物 / 細胞内情報伝達機構 / チャンネルブロッカー / カルモジュリン / 遺伝子クローニング |
Research Abstract |
本研究の目的は1)高等植物細胞の二次代謝関連遺伝子群の転写活性を制御する情報伝達機構関連遺伝子をクローニングする。2)これを植物細胞に導入し過剰発現させた形質転換体を作成する。3)得られた植物個体の二次代謝能を検討して、細胞内情報伝達カスケードの活性化が薬用植物の新規な分子育種法として利用できることを示す。というものである。 まず1)においては、単量体型GTP結合タンパクをコードした遺伝子、arf-001、をクローニングし、大腸菌に生産させた組み換えタンパクがGTP特異的な結合活性を示すことを確認したうえで、RT-PCRによってこれがconstitutiveに発現するものであることを明らかにした。 次いで2)では、カルシウム結合タンパクの一つであるカルモジュリンをコードした遺伝子、cam-4、をpMATベクターに組み込んでゴマに導入・発現させ形質転換体を作製した。更に、植物の根組織の形成に関わるrolクラスターを含んだpBCR82にarf-001を組み込み、ベラドンナで発現させ形質転換体を毛状根として作製した。 3)では、cam-4を組み込んだゴマの形質転換体においてPALやCOMT等のケイヒ酸経路の生合成酵素群の活性が上昇しており、これに伴ってカフェー酸やフェルラ酸などのフェニルプロパノイド化合物の蓄積量が増加していることを確認した。 これらの結果から、植物細胞の二次代謝能発現にかかわるカスケードに関連したカルモジュリンやGTP結合タンパク遺伝子をクローニングし有用植物に導入して情報伝達系を改変した形質転換細胞を作成することが、高生産性植物体を得るための新規な手法として利用できることが示された。
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