2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境化学物質による脳由来神経栄養因子発現誘導と異常行動との関連性についての研究
Project/Area Number |
17659035
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
津田 正明 富山大学, 薬学部, 教授 (80132736)
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Keywords | BDNF / ピレスロイド系殺虫剤 / デルタメトリン / グルフォシネート / バルプロ酸 / 自閉症 / ヒストン脱アセチル化 / 多検体スクリーニング |
Research Abstract |
本年度は、系殺虫剤ばかりでなく、広く能由来神経栄養因子(BDNF)遺伝子発現に影響を与える因子について検討を加えた。 1.ピレスロイド系殺虫剤の与える影響;ラット大脳皮質初代神経細胞培養系において、デルタメトリンなどのタイプIIピレスロイド系殺虫剤は顕著なBDNFmRNA発現誘導能を示したが、CN基を含まないタイプI型は誘導能を示さなかった。構造活性相関に関する研究から、加水分解産物及びその誘導体は誘導能を示さないことが明らかとなった。現在、さらに詳細な解析を行っている。また、ラットへのデルタメトリン投与で脳内BDNFmRNAの発現量の増加が認められた。しかし、毒性効果は認められなかった。今後、行動との関係を検討する。 2.除草剤グルフォシネートの与える影響;グルタミン酸によって誘導されるBDNFmRNA発現を促進する作用が認められたが、有意な結果が得られなかった。実験条件の検討が必要である。 3.バルプロ酸の影響;バルプロ酸(VPA)はGABAトランスアミナーゼ阻害剤であり、抗てんかん薬として使われている。しかし、妊婦の常用は自閉症発症の原因になっていることが指摘されている。VPAを培養系に加えると、BDNFexonI mRNAの顕著な誘導が認められた。トリコスタチンAによっても顕著な誘導が認められたことから、VPAはヒストン脱アセチルか酵素阻害薬として働いていることが考えられた。BDNFexonIは、海馬歯状回における神経幹細胞分化に関わっている可能性が高く、BDNFexonImRNA発現の異常と自閉症との関係が予想される。 4.BDNF遺伝子発現誘導剤の多検体スクリーニング系の確立;BDNF遺伝子プロモーター活性を指標に、96穴多検体スクリーニング系を検討し、その確立に成功した。今後、このスクリーニング系で、BDNF遺伝子発現に影響を与える科学物質のスクリーニングを行う。
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