2006 Fiscal Year Annual Research Report
多環芳香族炭化水素類(PAH)-DNA付加体を指標とするPAH曝露評価法の開発
Project/Area Number |
17659036
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鳥羽 陽 金沢大学, 自然科学研究科, 講師 (50313680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 和一 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (40115267)
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Keywords | 多環芳香族炭化水素 / バイオマーカー / DNA付加体 / ベンゾ[a]ピレン / LC-MS / MS / シトクロムP450 |
Research Abstract |
多環芳香族炭化水素(PAH)のなかで特に強い発がん作用を有するBenzo[a]pyrene(BaP)に着目し、BaPが代謝活性化されて生成する発がん作用の本体であるBaP-DNA付加体を生体指標(バイオマーカー)として用いるために、BaP-DNA付加体の高速液体クロマトグラフ-タンデム質量分析計(LC-MS/MS)を用いた新しい高感度分析法の開発を試みた。DNA付加体関連物質としてdG-BPDE、及びdG-BPDEを加水分解して得られるBaP tetrolをBaP-DNA付加体の分析対象化合物としてLC-MS/MSの条件検討を行った。分子量関連イオンをプリカーサーイオンとしてdG-BPDEのMS/MSスペクトルを得たところ、グアニン残基が脱離したイオンが観察され、このイオンを効率よく生成させるように、移動相条件、電圧等を最適化した。これに順じてBaP tetrolのLC-MS/MS条件を最適化するとともに、蛍光検出HPLCによる分析法も確立した。確立した分析法を培養細胞にBaPを暴露して得られたDNAに適用したところ、発がん作用の本体として知られる代謝生成物のanti-BPDEに由来するBaP-DNA付加体をBaP tetrolとして検出することができた。細胞のBaP処理24時間後からBPDE-DNA付加体が観察され、処理時間に依存して付加体量の増加が見られた。続いてDNA付加体を利用したヒトの曝露評価を行うためのバイオマーカーの開発を行った。被験者への負担(侵襲性)の観点から尿中のBaP-DNA付加体関連物質をバイオマーカー候補として、DNA付加体を加水分解して得られる尿中tetrolの検出を試みたが、前処理法の回収率の低さなどの改善の余地が残った。
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