2005 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス抵抗性を有する樹状細胞を用いた癌免疫療法の最適化
Project/Area Number |
17659047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 晋作 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (70207728)
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Keywords | ワクチン療法 / 腫瘍免疫 / 遺伝子治療 / アデノウイルスベクター / アポトーシス抑制 / 樹状細胞 |
Research Abstract |
これまでにBcl-XLは、ミトコンドリア外膜チャネルを閉じることにより、チトクロムcの流出とそれに続くカスパーゼの活性化を抑制し、細胞のアポトーシス誘導を強く制御することが明らかになっている。さらにBcl-XLの抗アポトーシス活性の研究からその活性増強変異型Bcl-XL(FNK)が見出されている。そこで抗原提示細胞である樹状細胞(DC)にこれら抗アポトーシス蛋白質を充分に発現させることが出来れば、そのDCのアポトーシスが抑制され、生体に投与した場合には、結果的にリンパ節へ移行する割合が増加し、T細胞を強く活性化できると予想される。本研究では、DCへ抗アポトーシス蛋白質遺伝子を導入し、アポトーシスに抵抗性を示すDCを用いた新たなDCワクチンの可能性を検討する。まず本年度は、「Bc1発現アデノウイルスベクター(AdRGD)の構築とDCに対する抗アポトーシス活性の評価」並びに「抗アポトーシス効果が得られたDCの免疫誘導能の評価」を行った。まずIn vitro ligationキットを用い、FNK及びBcl蛋白質を発現するAdRGD-FNK及びAdRGD-Bcl-xLを構築した。これらのベクターを用いて、DCへ遺伝子導入を行った結果、目的蛋白質が発現していることをwestern blottingにより確認した。またこれらのDCはアポトーシス抵抗性を有することを明らかにし、in vitroでの生存期間、さらに抗原提示期間が向上した。また、アポトーシス抵抗性DCは、その免疫学的機能を喪失していないことを明らかにした。以上の結果から、アポトーシス抵抗性DCをin vivoへ適応した場合、DCの生存期間の延長は、リンパ節への到達性の向上と、リンパ節内での延命効果に繋がり、T細胞活性化期間の延長に伴う強力な抗腫瘍免疫が誘導されるのではないかと期待される。
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Research Products
(1 results)