2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17659053
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
藤本 豊士 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50115929)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 秋一 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (60282232)
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Keywords | ラフト / 免疫電顕 / 細胞膜 / フリーズフラクチャー / 定量 / コレステロール |
Research Abstract |
細胞膜にはスフィンゴ脂質,コレステロールなどの脂質の性質に基づいて形成されるミクロドメイン(ラフト)が存在すると推測されているが,その実体については多くの議論がある.ラフトは固定,プローブ結合などで容易に変動すると推測され,従来用いられてきた方法では人工産物が混入する可能性を除外できない,我々は生きた細胞でのラフトの有無や諸性質を解析するために,培養細胞を液体ヘリウムで急速凍結し,凍結割断レプリカで物理的に固定したサンプルを用いてラフト成分の超微局在を検索する方法の開発を目的として研究を行った. ラフトを構成する分子であるGM1について,抗GM1抗体,コレラ毒素の2つを用いて標識を行ったところ,どちらも細胞膜のE面(外葉)だけを標識したこと,遺伝子欠損でGM1を欠く細胞では外来性のGM1負荷で初めて標識が出現したこと,などにより標識の特異性が確かめられた.GM1,GM3の分布をRipleyのK関数などで解析し,以下の結果を得た,1)マウス線維芽細胞では半径約50nmのクラスターを形成する領域が大半を占め,一個の細胞は全域で同一の分布パターンを示した.2)クラスターはGM1の分布密度にかかわらず存在した.3)コレステロールを減少させた細胞あるいは4℃で処理した細胞では,クラスター分布の領域は減少し,大半の細胞でランダムな分布を示す領域との混在が見られた.4)GM3もクラスター分布を示すが,GM1,GM3は共通のクラスターを形成する場合と,別々のクラスターを形成する場合があった.これらの結果は,GM1がクラスターを形成し,コレステロール依存性に変化する点でラフト説を支持する,一方,コレステロール減少や低温による変化がクラスターの解消ではなく,ランダム分布との混在をもたらすことを初めて明らかにした.
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Research Products
(3 results)