2005 Fiscal Year Annual Research Report
凍結割断レプリカ免疫標識法によるスフィンゴミエリンの細胞膜内外層における局在解析
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17659058
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
村手 源英 独立行政法人理化学研究所, スフィンゴ脂質機能研究チーム, 研究員 (30311369)
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Keywords | 細胞膜 / リン脂質 / 脂質ラフト / スフィンゴミエリン / フリーズフラクチャー法 |
Research Abstract |
細胞膜を構成する脂質二重層の外層と内層におけるリン脂質の分布について、これまで赤血球膜において詳細に調べられている。そこで、SDS処理凍結割断レプリカ標識(SDS-FRL)法において脂質ラフトの構成成分であるスフィンゴミエリンを、ライセニンを用いて検出する方法の妥当性を判断するために、最初にヒツジおよびヒト赤血球を材料に用いた。ヒツジ赤血球膜には細胞膜の外層を構成する主なリン脂質であるフォスファチジルコリンが存在しないことが知られており、そのため外層を構成するスフィンゴミエリンの数がヒト赤血球よりも多いことが予想される。実際に実験を行なってみると、ヒツジおよびヒト赤血球細胞膜において、SDS-FRL法によってライセニンを用いてスフィンゴミエリンが検出できた。また、ヒツジ赤血球細胞膜ではヒト赤血球細胞膜においてよりも、単位面積当たりの反応産物の量が多かった。これらのことから、SDS-FRL法によるライセニンを用いたスフインゴミエリンの検出は信頼に足るものであると考えられる。一方、スフィンゴミエリンを示す反応産物は、ヒツジにおいてもヒトにおいても細胞膜の外層にのみ検出された。過去の生化学的な手法を用いた研究から、ヒト赤血球細胞膜において内層にもわずかにスフィンゴミエリンがあることが知られているが、本法を用いた研究では検出できなかった。ライセニンは5-6分子のスフィンゴミエリンのクラスターを検出することが知られており、内層においてスフィンゴミエリンは存在するが、クラスターを形成していないのかもしれない。一方、ヒツジおよびヒト赤血球細胞膜の外層において反応産物の分布はいずれも一様であった。これらのことから、細胞膜外層にスフィンゴミエリンは一様に分布していると考えられる。以上の研究の一部は国際会議(アムステルダム、オランダ、2005)で発表した。
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Research Products
(5 results)