2006 Fiscal Year Annual Research Report
凍結割断レプリカ免疫標識法によるスフィンゴミエリンの細胞膜内外層における局在解析
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17659058
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
村手 源英 独立行政法人理化学研究所, スフィンゴ脂質機能研究チーム, 研究員 (30311369)
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Keywords | 細胞膜 / 脂質ラフト / スフィンゴミエリン / 電子顕微鏡 / 線維芽細胞 / 赤血球 / フリーズフラクチャー法 / 統計解析 |
Research Abstract |
細胞膜を構成する脂質二重層の外層と内層におけるリン脂質の分布について、これまでヒト赤血球細胞膜を用いて調べられているものの、その他の細胞において得られている情報は非常に乏しい。前年度は、細胞膜を構成するスフィンゴミエリンの2次元的な分布を電子顕微鏡レベルで解析するために、SDS処理凍結割断レプリカ標識法が極めて有用である事を確認した。そこで本年度は、ヒト線維芽細胞を材料に用いて、細胞膜におけるスフィンゴミエリンの分布を解析した。その結果、ヒツジおよびヒト赤血球細胞膜において昨年度に得られていた結果と同様に、外層には広くスフィンゴミエリンが分布していることが明らかとなった。一方、内層においては、ヒツジおよびヒト赤血球の場合にはスフィンゴミエリンが検出できなかったのに対して、ヒト線維芽細胞では数は少ないものの、明らかな分布を観察することができた。これまで細胞膜内層にスフィンゴミエリンが存在するかどうかは議論が分かれていたが、本研究によってその存在が明らかにされた。さらに、これまでに得られているデータを、RipleyのK関数を改変したL関数を用いて統計学的に解析し、ライセニンの局在を示す金コロイドの分布がクラスターを形成しているかどうかを調べた。その結果、ヒツジ赤血球細胞膜外層においてはクラスターを形成していないものの、ヒト赤血球細胞膜外層およびヒト線維芽細胞の細胞膜外層においては、いずれもクラスターを形成していることが明らかとなった。その集積している程度は、ヒト線維芽細胞の方がヒト赤血球よりもはるかに高かったが、そのクラスターの半径はいずれも約30nmであることが示された。この値は、これまでに報告されている脂質ラフトの大きさと匹敵するものである。以上の結果は、アメリカ細胞生物学会(サンディエゴ、アメリカ合衆国、2006)で発表した。
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Research Products
(6 results)