2005 Fiscal Year Annual Research Report
冬季貯食動物「ナキウサギ」を用いた摂食・貯食調節機構の解明
Project/Area Number |
17659068
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
松本 孝朗 中京大学, 体育学部, 教授 (60199875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅屋 潤壹 愛知医科大学, 医学部, 教授 (50109352)
西村 直記 愛知医科大学, 医学部, 講師 (40278362)
佐藤 麻紀 愛知医科大学, 医学部, 助手 (60351102)
伊藤 美武 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (20125115)
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Keywords | ナキウサギ / 摂食調節 / 貯食調節 / 非冬眠 / 寒冷適応 / 高地適応 / 概日リズム |
Research Abstract |
巣内にエサ(植物)を貯えて冬を越す=貯食行動という非常にユニークな寒冷適応特性を示すナキウサギを用いて、摂食・貯食の調節機構を解明することが本研究の目的である。ナキウサギが貯食行動を起こす自然のキューとして、日照時間や気温が想定されるが、不明である。実験室飼育下のナキウサギを用いて日照時間や気温の摂食・貯食行動への影響を明らかにする。 本年度は実験の方法論の確立をめざすとともに、基礎データの蓄積に努めた。 【貯食行動解析システムの考案】プラスチックケージ2個を上下に置き、その間を屈曲した塩ビ製パイプで継いだ特性ゲージを作成し、上のケージ(給餌ケージ)にのみエサ(固形飼料)を与える。ナキウサギは給餌ケージへエネルギーを消費して移動し、摂食する。また一部のエサは下の居住室ケージへ持ち帰る(貯食)。両ゲージに受信ボードを設置し、動物の存在(移動)をモニターすることを目指し、試行錯誤を重ねたが、ケージの素材、塩ビパイプの素材等の問題のため、確立に至らなかった。 【絶食実験】ナキウサギ、ウィスターラット、シリアンハムスター各8匹を用い、室温24℃、12時間-12時間明暗周期、自由摂食条件にて飼育している各動物に48時間の絶食(飲水可)を行った。ウィスターラット、シリアンハムスターは48時間の絶食に耐えたが、ナキウサギは絶食29時間目にて8匹中6匹が死亡に至り、中止した。また、ナキウサギの絶食1日当たりの体重減少率はラット、ハムスターに比べて優位に大であった。ナキウサギは皮下脂肪が非常に少ないことが影響したと推測された。 【常暗環境の摂食への影響】ナキウサギを常暗環境(3週間)暴露群(8匹)と明暗周期群(14匹)の2群に分け、体重の変化を比較した。2元配置分散分析の結果、常暗環境暴露により有意な体重増加(p=0.025)を認めた。常暗環境下ではナキウサギの摂食が亢進することが示唆された。
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Research Products
(6 results)