2006 Fiscal Year Annual Research Report
摂食行動の調節に関わる視床下部AMPキナーゼ標的分子の探索
Project/Area Number |
17659069
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
箕越 靖彦 生理学研究所, 発達生理学研究系, 教授 (10200099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 士毅 生理学研究所, 発達生理学研究系, 助教 (40342919)
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Keywords | 摂食行動 / AMPキナーゼ / 視床下部 / レプチン / 肥満 / メタボリックシンドローム |
Research Abstract |
AMPキナーゼは、酵母、植物、動物におけるほとんどの細胞に発現するセリン/スレオニン・キナーゼである。私どもは最近、グルコースやホルモン(レプチンやインスリン)によって視床下部AMPキナーゼの活性が低下し、その結果、摂食促進ニューロンに調節作用を営んで摂食行動を抑制することを報告した(Minokoshi Y, et al., Nature428:569-574,2004)。本研究は、摂食行動を調節する視床下部AMPキナーゼの分子機構を明らかにする目的で、視床下部AMPキナーゼと相互作用し、AMPキナーゼの活性化に関わる分子、AMPキナーゼの標的分子を探索した。 視床下部AMPキナーゼは、マウスにおいて、絶食すると活性が増加し逆に再摂食によって活性が低下することが明らかとなっている。そこで絶食(1日)と再摂食(3時間)させたマウスの視床下部抽出液を作製し、これに活性型AMPキナーゼを混ぜ、一定時間後incubateした後、特異的flag抗体を用いて活性型AMPキナーゼを免疫沈降した。そして、その沈降物を電気泳動によって分離することにより活性型AMPキナーゼに結合する蛋白質を調べた。その結果、分子量約90kDaの蛋白質が活性型AMPキナーゼと特異的に結合し、しかも再摂食によって活性型AMPキナーゼとの結合が減少することを見いだした。現在、質量分析によってこのタンパクの一次構造を調べている。 一方、我々は、ある神経細胞株においてレプチンが、視床下部での作用と同様にAMPキナーゼ活性を低下させることを見出した。この細胞株でのレプチンの作用を解析した結果、新規脱リン酸化酵素がAMPキナーゼ活性の抑制に関与することを見出した。現在、レプチンが、どのような機構を介してこの脱リン酸化酵素を活性化し、その結果、AMPキナーゼ活性を抑制するかを調べている。
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