2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17659078
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
青江 知彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (90311612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠塚 典弘 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (80261907)
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Keywords | 小胞体 / ゴルジ体 / KDEL受容体 / 小胞体ストレス / 心筋細胞 |
Research Abstract |
分泌蛋白や膜蛋白は小胞体に挿入されて、小胞体に局在する分子シャペロンであるBiP/GRP78、carleticulin等との相互作用によって、折り畳み構造が形成され、糖鎖付加、複合体形成がなされ、機能的にも成熟して小胞体から分泌される。こうした過程が虚血、再灌流、低栄養、低酸素、スーパーオキシド、毒物などの外界からの侵襲や遺伝子変異によって阻害されると、小胞体内に折り畳み構造の異常な蛋白質が蓄積し、分子シャペロンの産生増加、蛋白合成の抑制、異常蛋白質の分解、細胞死といった小胞体ストレス反応が起こる。近年こうした小胞体ストレス反応が神経変性疾患や躁鬱病、糖尿病を始めとする種々の疾患に関与している事が示唆されている。 我々は、KDEL受容体による逆行性輸送が小胞体ストレス反応に重要であり、それが障害されると細胞は侵襲に弱くなる事を培養細胞で示して来たが、最近変異KDEL受容体を発現するトランスジェニックマウスを作製し、実際にin vivoでもKDEL受容体が小胞体ストレス反応、小胞体quality controlに重要であり、KDEL受容体によるゴルジ体から小胞体への逆行輸送の障害によって、心筋細胞に異常蛋白が蓄積し、小胞体ストレス反応、細胞死が誘発され、心筋症が発症する事を報告した(MCB 24, p8007-17, 2004)。 我々はKDEL受容体の機能を強化する事で、小胞体quality controlの能力が高まり異常蛋白の心筋細胞への蓄積が減少し、心筋のストレスに対する抵抗性を高める事になる、即ち、心不全に対する治療になるのではないかと考えた。 そこで正常KDEL受容休あるいは輸送変異KDEL受容体が発現するトランスジェニックマウスの腹部大動脈を縮窄し心臓に圧負荷を加えたところ、正常KDEL受容体トランスジェニックマウスの方が圧負荷に抵抗性がある様な傾向が見られた。次に正常KDEL受容体遺伝子アデノウイルスベクターを作製し、今後、正常マウスに圧負荷を加えた場合の心筋細胞障害が緩和されるかどうか検討する。
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Research Products
(1 results)