2005 Fiscal Year Annual Research Report
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17659081
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山中 伸弥 京都大学, 再生医科学研究所, 教授 (10295694)
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Keywords | ES細胞 / 分化多能性 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
精子幹細胞は生後の精巣から樹立され、精子分化能を維持したまま長期間にわたって培養することができる。精子幹細胞は精子にしか分化できない単能性幹細胞であるが、受精後速やかに全能性が回復すること、すなわち精子幹細胞は全能性や多能性を次世代に伝える役割を果たしていることを考えると、精子幹細胞から多能性幹細胞を樹立できる可能性がある。本年度はまず、多能性幹細胞であるES細胞と、精製幹細胞であるGS細胞との間で、遺伝子発現やDNAメチル化状態を比較した。私たちは以前にES細胞で特異的に発現する遺伝子群ECAT(ES cell associated transcript)を多数同定した。ECATの発現を解析したところ、大部分がES細胞に加えてGS細胞でも発現していることが明らかとなった。またこれら遺伝子プロモーター領域はES細胞とGS細胞の両者で低メチル化状態にあった。しかし、少数のECAT遺伝子はGS細胞において発現が認められなかった。興味深いことに、GS細胞で発現していないECATのほとんどはOct3/4とSox2による転写制御を受けていることの知られている遺伝子であった。そしてこれらの遺伝子においてはOct3/4とSox2の結合配列を中心にGS細胞においては高メチル化されていることがわかった。これらの結果は、少数のECAT遺伝子における高メチル化と発現抑制がES細胞とGS細胞の違いを規定している要素の一つであることを示している。今後はGS細胞において発現していないECAT遺伝子を強制発現させることにより、GS細胞からES細胞に類似した多能性幹細胞を樹立できるかを検討する。
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Research Products
(3 results)