2005 Fiscal Year Annual Research Report
上皮性肉腫の細胞形態・予後における細胞膜糖蛋白Oysadherinの役割
Project/Area Number |
17659103
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
恒吉 正澄 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (20091259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 義直 九州大学, 大学院医学研究院, 講師 (70291515)
田宮 貞史 九州大学, 医学部保健学科, 助教授 (60284486)
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Keywords | 上皮性肉腫 / Dysadherin / E-cadherin / 類上皮肉腫 / 悪性ラブドイド腫瘍 / 滑膜肉腫 |
Research Abstract |
類上皮肉腫・悪性ラブドイド腫瘍におけるDysadherinの発現: 類上皮肉腫(以下ES)46症例、悪性ラブドイド腫瘍(以下MRT)6症例のパラフィン包埋標本について、Dysadherinの免疫染色を行った。ES症例の54%(25/46)においてDysadherinの発現を認めたが、一方MRT症例では全く発現を認めなかった[0%(0/6)]。さらにESの組織亜型である近位型ESは、形態学的にMRTとの鑑別が難しいが、近位型ES症例においては71%(17/24)においてDysadherinの発現を認めた。 これらはDysadherinの免疫染色がES(特に近位型ES)とMRTとの鑑別に有用である事を示すものであった。ES細胞株4株、MRT細胞株4株においてDysadherinのmRNA発現を定量的RT-PCR法を用いて比較検討したところ、ES細胞株(特に近位型ES)ではDysadherinのmRNA発現が非常に高かったのに対して、MRT細胞株ではmRNA発現も殆ど認められなく、免疫染色の結果と合致するものであった。 Dysadherinの免疫染色が可能で、生命予後追跡が可能であったESの45症例の解析では、単変量解析にてDysadherinの発現、広範の壊死(>50%)、大きな腫瘍径(>5cm)、高いMIB-1標識率(>30%)が予後不良因子であった。多変量解析ではDysadherinの発現(p=0.0004)、広範の壊死(>50%)(p=0.0006)の2因子のみが独立予後不良因子であった。ESは化学療法や放射線療法等には治療抵抗性であり治療に難渋する事が多いが、上記の結果は、将来的にDysadherinに対する分子標的薬治療がESの治療において有効であるものと考察された。 以上の結果は欧文誌Modern Pathologyへ投稿し、2006年3月にAcceptされたものである。
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Research Products
(5 results)