2006 Fiscal Year Annual Research Report
上皮性肉腫の細胞形態・予後における細胞膜糖蛋白Oysadherinの役割
Project/Area Number |
17659103
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
恒吉 正澄 九州大学, 大学院医学研究院, 教授 (20091259)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 義直 九州大学, 大学院医学研究院, 講師 (70291515)
田宮 貞史 九州大学, 医学部保健学科, 助教授 (60284486)
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Keywords | 上皮性肉腫 / Dysadherin / E-cadherin / 滑膜肉腫_ |
Research Abstract |
滑膜肉腫におけるDysadherinの発現: 滑膜肉腫92症例のパラフィン包埋標本について、Dysadherin・E-cadherinの免疫染色を行った。 Dysadherin蛋白の発現陽性は、E-cadherin蛋白の発現減弱と有意に相関していた(p=0.0004)。Dysadherin蛋白は、単相性線維型の30/68例(44%)、および低分化型の1/2例(50%)に、びまん性に腫瘍細胞の細胞膜に発現していた。しかし、二相型においてdysadherin蛋白は、紡錘形細胞成分にはびまん性に発現を認めず、しばしば散発性・限局性に発現を認めた[20/22(91%)例]。30例では腫瘍凍結材料が入手可能であり、dysadherinのmRNA発現をRT-PCR法、リアルタイム定量的RT-PCR法により検出した。DysadherinのmRNA発現量は、単相性線維型は二相型と比較して有意に発現量が高かった(p=0.0079)。 滑膜肉腫患者においてdysadherin蛋白発現陽性例は、dysadherin蛋白陰性例と比較して有意に生存期間が短かった(p=0.0006)。多変量解析では、dysadherin蛋白発現陽性(p=0.0411)は、高いMIB-1標識率(【greater than or equal】10%)とともに、独立した予後不良因子であった。以上より、dysadherin蛋白によるE-cadherin蛋白の機能不全は、E-cadherin蛋白の発現減弱、および形態学的に腫瘍細胞が上皮様細胞から紡錘形細胞へと変化する事に関連していると考えられた。Dysadherin蛋白の発現は、滑膜肉腫において組織亜型を規定する因子の1つである事が示唆された。また、dysadherin蛋白の発現は独立した予後不良因子として重要であった。 以上の結果は欧文誌Am J Surg Patholへ投稿し、2007年1月にAcceptされたものである。
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Research Products
(5 results)