2006 Fiscal Year Annual Research Report
パルボウイルスによる宿主遺伝子のエピジェネティクス
Project/Area Number |
17659134
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
八神 健一 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (40166476)
|
Keywords | パルボウイルス / NS / エピジェネシス / 宿主遺伝子 |
Research Abstract |
パルボウイルス群には各種動物に感染する固有のパルボウイルスが存在し、各ウイルスは胎児死亡、肝炎、造血障害、関節炎等の共通した病態を引き起こし、自己免疫病との関連も示唆されている。また、多くのパルボウイルスでin vivoおよびin vitroでの抗腫瘍活性が報告されているが、そのメカニズムは不明である。昨年度までに、パルボウイルスの抗腫瘍活性や病態形成に重要な役割を持つと考えられる非構造タンパク(NS)が宿主遺伝子のヒストンをアセチル化することにより、様々な形質の変化を誘導する可能性を示した。 本年度は、パルボウイルス感染により形質の変化を生じたC58(NT) D/R細胞と親株であるC58(NT) D細胞において、DNAのメチル化の差異をRLGS法によりゲノムワイドに検索し、両細胞間で発現量の異なる2つの遺伝子を同定した。そのひとつである骨形成に関わる遺伝子について、上流域のCpG islandのメチル化状態を、Bisulfite Sequencing法により検討した。その結果、その遺伝子はC58(NT) D/R細胞において高度にメチル化され、発現抑制も確認された。この遺伝子産物は、骨形成因子BMPファミリーのBMP2,BMP4,BMP6等の機能を阻害することが報告されており、BMPのアンタゴニストとして作用すると考えられている。パルボウイルスNSによる宿主遺伝子のメチル化が、BMP/Smad経路の活性化状態を修飾し、腫瘍形成能に変化を誘導する可能性が示唆された。
|
Research Products
(1 results)