2005 Fiscal Year Annual Research Report
酵母出芽の非感染性ウイルス様粒子への遺伝子パッケージングとその遺伝子発現
Project/Area Number |
17659137
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
森川 裕子 北里大学, 北里生命科学研究所, 教授 (20191017)
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Keywords | 酵母 / HIV / ゲノム / パッケージング / ワクチン |
Research Abstract |
申請者は、酵母細胞を用いヒト免疫不全ウイルス(HIV)の非感染性ウイルス様粒子(VLP)産生系を構築した。本年度は、この酵母細胞出芽の非感染性Gag粒子への遺伝子パッケージングを試みた。 HIVゲノムは両末端にLTRと呼ばれる(U3-R-U5領域から構成される)転写複製制御領域をもつ。酵母細胞で転写されかつ非感染性HIVゲノムとなるよう、まず5'-LTRのU3領域(プロモーター領域)を酵母のGAPプロモーターに、3'-LTRを酵母のGAPターミネーターに置換した酵母発現plasmidを作製した。1)TatとRev蛋白:HIV制御因子であるTat蛋白(5'-R領域TAR部位との結合による転写伸長)とRev蛋白(RRE部位との結合によるunspliced RNAの核外輸送)の効果を酵母細胞で調べたところ、これらを共発現させても転写産物量と発現Gag蛋白量は変化しなかった。2)5'-非翻訳領域:5'-R-U5からgag開始コドンまでの非翻訳領域は複雑な2次構造を有するが、この5'-R領域からtruncation変異体を作製しそれらconstructからの転写産物量と発現Gag蛋白量を調べたところ、転写産物量は不変であるにもかかわらず、この5'-領域の長さが長くなるほどGag蛋白発現量は減少し、完全長の5'-R-U5領域をもつ場合にはGag蛋白は発現しなかった。従って酵母細胞ではこの5'-非翻訳領域の複雑な2次構造は翻訳過程に阻害的に作用すると考えられた。3)トランスパッケージングVSシスパッケージング:HIVのゲノムパッケージングシグナルは5'-R-U5からgag開始コドンまでの非翻訳全領域に広がっているため、ゲノムパッケージングにはこの領域をtruncationすることはできない。しかし、この領域は翻訳を阻害する。そこでGag蛋白発現plasmidをトランスに供給してゲノムをパッケージングさせるトランスパッケージング系を構築した。
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