2006 Fiscal Year Annual Research Report
がん手術後フォローアップに対する医療経済評価ツールの開発に関する研究
Project/Area Number |
17659146
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
濃沼 信夫 東北大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60134095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 道哉 東北大学, 大学院医学系研究科, 講師 (70221083)
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Keywords | 大腸がん / 医療経済 / 費用便益分析 / Markov model / 医療費 / がん術後フォローアップ |
Research Abstract |
【研究目的】最近のがん治療は、初期治療に加えて長期フォローアップの重要度が増している。治療技術の進歩等により、がんの長期生存者が増加し、失われた機能の回復や再発の防止が大きな課題になってきたためである。しかし、フォローアップの方法や有効性を経済的側面から検討する研究は見あたらない。本研究では、がん手術後の異なるフォローアップ体制の優劣や、これに投じる資源の妥当性を、医療経済の視点から検証することを目的とする。 【対象と方法】大腸がんの術後ファローアップの方法を類型化し、再発形式、生存予後、患者QOL、医療費を比較するシステムモデルをMarkovモデルに準じて開発した。システムモデルのパラメータの算出には、大腸癌術後フォローアップ研究会(代表:杉原健一)の協力のもと、全国16施設に登録された大腸がんのデータを用いた。昨年度のStage Iに続き、今年度はStage IIについての経済分析を実施した。 【結果と考察】1991〜96年の観察期間において、Stage IIの結腸がん1,090例、直腸がん648例のうち再発は各152例、150例、再発後の生存数は各37例、26例である。フォローアップの平均費用を5年目までは年間41,560円、6年目以降は年間16,220円として算出すると、再発1人発見に要する費用は、結腸がん290万円、直腸がん164万円である。また、1人救命に要する費用は各1,190万円、946万円であり、これは社会的に支出を容認されうる水準と考えられる。フォローアップによる救命数増加は、結腸がん18.5%、直腸がん13.0%である。経済的な効果が生じる均衡点は各2.0%、1.8%であり、大腸がんフォローアップの経済的効果は十分高いと考えられる。
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