2005 Fiscal Year Annual Research Report
急性心筋梗塞の超急性期における血液生化学的診断マーカーの開発
Project/Area Number |
17659161
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
安田 年博 福井大学, 医学部, 教授 (80175645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 康幸 福井大学, 医学部, 助手 (40324157)
飯田 礼子 福井大学, 医学部, 助手 (40139788)
植木 美鈴 福井大学, 医学部, 教務職員 (00165656)
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Keywords | deoxyribonuclease I / 急性心筋梗塞 / 経皮的冠動脈形成術 / 心筋虚血 / 血清 / 診断マーカー |
Research Abstract |
従前の研究から、血清deoxyribonuclease I(DNase I)が急性心筋梗塞(AMI)発症後急激な活性上昇を示すことを見出した。血清DNase Iは急性期における急性心筋梗塞の血液生化学的診断マーカーになりうると期待される。本年度は、それに関連して、血清DNase Iが一過性心筋虚血の診断マーカーとして有用であることを検証した。 安定狭心症患者の治療として経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が適用されている。PCI施行に際し、一過性心筋虚血が惹起される。そこで、PCI適用患者および対象として冠動脈造影(CAG)適用患者について、血清DNase I活性の変動を精査・比較した。血清DNase I活性は、PCI群のうち88%の患者でPCI施行直後に上昇し、その後正常値に復帰する一過性の有意な活性上昇を示した。他方、一過性心筋虚血を惹起しないCAG群では全ての患者でそのような活性変動は認められなかった。他方、troponin Tなどの従来の心筋マーカーの有意な上昇が認められないPCI群においても、81%の患者では血清DNase I活性の有意な上昇が観察された。さらに、血清DNase I活性の上昇は従来の心筋マーカーに比較して早期にレスポンスすることも明らかとなった。従って、血清DNase Iは一過性心筋虚血発症早期の診断に利用しうる新規な血液生化学的マーカーになるものと考えられた。本年度見出した血清DNase Iのように心筋虚血発症直後にレスポンスする診断マーカーはこれまでに報告されていない。なお、心筋虚血による血清DNase I活性上昇の分子機構をin vitro解析する予定である。本年度の研究は当該機関倫理審査委員会の承認を受けたものであり、患者試料の採取・使用についてインフォームドコンセントを得た。
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