2006 Fiscal Year Annual Research Report
急性心筋梗塞の超急性期における血液生化学的診断マーカーの開発
Project/Area Number |
17659161
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
安田 年博 福井大学, 医学部, 教授 (80175645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 康幸 金沢医科大学, 医学部, 助手 (40324157)
飯田 礼子 福井大学, 医学部, 助手 (40139788)
植木 美鈴 福井大学, 医学部, 教務職員 (00165656)
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Keywords | 心筋梗塞 / deoxyribonuclease I / 疾患感受性遺伝子 / 遺伝的多型 / 診断マーカー / SNP / ケースコントロール解析 / 遺伝解析 |
Research Abstract |
従前の研究から、血清deoxyribonuclease I (DNaseI)は急性期における急性心筋梗塞の血液生化学的診断マーカーになりうることが期待される。近年、心筋梗塞の発症に係わる遺伝子群が検索されているが、本年度はDNaseI遺伝子が心筋梗塞の新規な疾患感受性遺伝子であることを見出した。 ヒトDNaseIは遺伝的多型形質であり、アミノ酸置換Gln222Argに基づく2個の主要共優性対立遺伝子DNASE1^*1(Gln222)とDNASE1^*2(Arg222)によって決定される3個の主要表現型1型、1-2型および2型に分類される。そこで、心筋梗塞(MI,466名)および安定狭心症患者(AP,300名)群におけるDNaseI遺伝子多型の分布調査に基づくケースコントロール解析を実施した。その結果、両患者群間で表現型の分布およびDNASE1^*2の対立遺伝子頻度に関して有意差(P<0.001)が認められた。さらに、ロジスティック回帰分析を用いた多変量解析を実施したところ、MI群とAP群間で対立遺伝子DNASE1^*2のオッズ比は1.51(95%信頼区間、1.04から2.18)と算定された。従って、DNASE1^*2はこれまでに知られている主な冠疾患の危険因子(肥満、喫煙など)とは独立した危険因子であることが明らかとなった。本研究のMI群とAP群との問の病因的な差は血栓形成を伴う脆弱なプラークの崩壊である。MIおよびAP群を用いたケースコントロール解析からDNaseI遺伝子Gln222Arg多型と心筋梗塞発症との関連が明らかとなり、従ってDNaseIは脆弱なプラークの崩壊に関与する心筋梗塞の新規な感受性遺伝子であることが示唆された。現在、プラーク崩壊へのDNaseIの関与機序について解析中である。なお、本年度の研究は当該機関倫理審査委員会の承認を受けたものであり、患者試料の採取・使用にっいてインフォームドコンセントを得た。
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