2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヘリコバクター・ピロリ感染胃粘膜におけるカプサイシン感受性知覚神経の分布形態解析
Project/Area Number |
17659163
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
羽山 正義 信州大学, 医学部, 助教授 (40377619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 浩良 信州大学, 医学部, 教授 (50273107)
勝山 努 信州大学, 医学部, 教授 (90020809)
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Keywords | 胃粘膜保護 / カプサイシン / CGRP / H. pylori / 神経科学 |
Research Abstract |
本研究の目的はH. pylori感染ヒト胃粘膜におけるカプサイシン感受性知覚神経(CGRP陽性神経)の分布解析であったが、解析に必要な正常胃粘膜材料の十分な確保が困難であったため、H. pylori感染ラットにおけるCGRP陽性神経の分布形態を解析する方向で実験を進めた。その結果、正常ラット胃体部粘膜におけるCGRP陽性神経の分布密度は平均22.9μm/10^5μm^3で粘膜全層にわたり均一に分布し、その神経線維の先端は表層粘液細胞直下まで達すること、一方、幽門粘膜では腺底部に高密度(平均37.8μm/10^5μm^3)に分布がみられるが、表層まで達する神経線維は少ないことが分かった。このことからカプサイシン感受性知覚神経の分布様式は、体部では表層粘液細胞ムチンの合成促進作用(Ichikawaら)を、幽門部ではソマトスタチン分泌促進作用(Kawashimaら)を裏付けるものと考えられた。また、これらの解析結果に加えて行ったレーザー顕微鏡を用いた三次元解析結果から、胃粘膜組織におけるCGRP陽性神経の走行は血管周囲をらせん状に取り巻く像を示しており、胃粘膜組織における血流調節と密接に関係したものであると考えられた。 H. pylori感染ヒト胃粘膜におけるCGRP陽性神経の分布解析は、ヒト胃粘膜材料の収集およびラット感染実験が困難であったため、スナネズミ感染例を用いた検討に着手した。慢性感染例が少なく十分な解析結果が得られなかったが、得られた感染実験例ではCGRP陽性神経の伸長傾向が伺えた。なお、H. pylori感染胃粘膜における胃粘膜上皮の細胞増殖能とCGRP陽性神経の分布様式の関係については、昨年度H. pyloriは増殖粘膜上皮細胞表面には接着して存在し得ないことを証明したものの、解析に必要な材料が十分得られなかったため継続中である。
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