2005 Fiscal Year Annual Research Report
自然排出便中からの大腸がん細胞の分離法の開発とその大腸がん遺伝子診断への応用
Project/Area Number |
17659172
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
松村 保広 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), がん治療開発部, 部長 (90209619)
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Keywords | 大腸がん / スクリーニング / 便潜血反応 / 遺伝子診断 / イムノビーズ |
Research Abstract |
便潜血反応テストは、世界中に普及しているが、最近の大腸内視鏡で確認した研究では、その感度が10ないし20%であることがわかってきた。従って国内外で大腸がんでの遺伝子変異、遺伝子発現変化を検索し、それを便DNAに応用することにより、大腸がんの分子診断学を確率しようとする試みが幾多もみられるが、感度が5割をこえることはない。本研究では、自然排出便を血清入りの特殊な緩衝液セホモジナイズし、その後フィルターで濾過し便残渣を可及的に除き、大腸がん細胞で高く発現していることが知られているEp-CAMに対する抗体が付加されたイムノビーズによりフィルター濾液中のがん細胞を含む上皮細胞を分離する方法を確立した。手術目的の大腸がん患者116名、大腸内視鏡検査を受けて、ポリープとがんがない健常ボランティア83名につき解析した。症例に関しては文書により同意を得た。細胞診ではがん患者において、28%陽性(32/116)、健常人は0%(0/83)であった。分離細胞からDNAを抽出し、K-ras、APC、p53およびBAT26遺伝子変異を調べた、その結果、がんで71%(82/116)陽性であった。健常者では88%(73/83)が陰性であった。がん患者のうち早期がんであるDukes A,Bでは72%(44/61)の陽性率であった、また、比較的診断が困難な右側結腸がんにおいても陽性率が57%(20/35)であった。今後はDNAレベルの診断で、かつ自動化ができるような方法を開発すべく、現在SSCP法の適応の可能性について検討を行っている。
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