2005 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス脆弱性指標ががん患者の予後に与える影響に関する前向きコホート研究
Project/Area Number |
17659193
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
内富 庸介 国立がんセンター(研究所及び東病院臨床開発センター), 精神腫瘍学開発部, 部長 (60243565)
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Keywords | ストレス / コルチゾール / 前向きコホート研究 / 肺がん患者 / 生存分析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本のがん患者に対し、ストレス脆弱性指標(24時問尿中コルチゾール量、コーピング、抑うつ)と生命予後の関連を前向コホートデザインにて検討することである。平成17年度は、がん患者の24時間尿中コルチゾール量と生命予後との関連を検討した。 本研究対象者は、1996年6月から1999年4月まで国立がんセンター呼吸器外科に受診した手術適用の非小細胞がん患者226例とした。本研究プロトコールは、対象者の手術施行前に蓄尿を含む医学的データ及び心理的質問票に関する調査を実施した。追跡調査は1996年6月1日から2004年1月まで行い、56例の死亡および2例の転出を確認した。24時間尿中コルチゾール量は、蓄尿試料により放射免疫定量法キットを用い1日当たりの尿中コルチゾール量を測定した。24時間尿中コルチゾール量は、対象数が均等になるように3分割した。統計解析はCox比例ハザードモデルを用い、曝露要因を24時間尿中コルチゾール量、死亡をエンドポイントとした時の相対危険度を算出した。共変量は、性、年齢、ステージ等とした。 24時間尿中コルチゾール量の最小量群(【less than or equal】17.7μg/day)の死亡リスクを基準とした時の、他群の多変量補正相対危険度(Hazard Ratio, 95% Confidence Interval)は、中等量群(17.8-29.3μg/day)で1.09(054-2.21)、最大量群(【greater than or equal】29.4mg/day)で1.17(0.55-2.46)(Trend P=0.17)であった。同様の解析を、ステージ別(IA及びIB-IIIA)の解析を行ったが、いずれにおいても有意な関連は示されなかった。 本研究結果より、手術適用非小細胞肺がん患者の24時間尿中コルチゾール量が生命予後に与える影響は小さいと考えられる。
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