2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17659199
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
近藤 稔和 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70251923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 章彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (60136611)
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Keywords | 法医病理学 / 偽膜性大腸炎 / 突然死 / 抗生物質関連性腸炎 / Clostridium difficile / 実験モデル / サイトカイン / ケモカイン |
Research Abstract |
偽膜性大腸炎は,抗生物質の投与によって腸内細菌叢の菌交代現象が起こり,このうちクロストリディウム・ディフィシル(Clostridium difficile)が増殖した結果として起こる,重篤な大腸炎です。その原因となる抗生物質としては,リンコマイシンやクリンダマイシンなどの広域抗生物質によるものがよく知られているが,ペニシリン系やセフェム系など,他の抗生物質によって誘発される可能性もあり,C.difficileに対して抗菌力を示さない抗菌剤全てが原因となる可能性を持つ.しかしながら,偽膜性大腸炎の病態生理については,未だ不明な点が多い。したがって,本年度は偽膜性大腸炎の動物モデルを確立を主たる目的とした. 偽膜性大腸炎実験モデル 1)実験動物としてマウスを用い,麻酔下で開腹し,長さ4cmの腸管ループ内にC.difficileの毒素(トキシンA)を200ng/0.2ml注入し、1,2,4時間後に実験動物を屠殺して腸管ループを採取すると、毒素を投与して腸管ループでは、水分の吸収が抑制されていた。 2)ヘマトキシリン-エオジン染色で病理組織学的解析を行ったところ、毒素を投与したループの腸の正常組織構造は、破壊され出血及び白血球浸潤が著明であり、免疫組織化学的に白血球の種類としては好中球が主体であった。 3)採取した腸管の一部を試料として,チオシアン酸グアニジン法により総RNAを抽出後、各サイトカインやケモカインの遺伝子発現を検討したところ、インターフェロン-γ、インターロイキン-12(IL-12),IL-18,腫瘍壊死因子(TNF-α)、マクロファージ炎症性タンパク-1(MIP-1),MIP-2,KCの遺伝子発現が、著明に増強していた。 以上、この実験モデルはヒトのC.difficileトキシンAによる腸炎のモデルとふさわしいものと考えられた。
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