2005 Fiscal Year Annual Research Report
漢方処方を進化させる科学的アプローチ-痴呆を治療する処方の開発-
Project/Area Number |
17659202
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
小松 かつ子 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (50225570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東田 千尋 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助手 (10272931)
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Keywords | 痴呆 / 軸索 / シナプス / 黄耆 / 石菖蒲 / 漢方薬 / Astragalosides / 水迷路 |
Research Abstract |
1.in vitro神経障害モデルでの実験 ラット大脳皮質神経細胞にアミロイドβの部分活性配列Aβ(25-35)を処置して神経突起の萎縮とシナプス密度の減少を誘発させた。Aβ(25-35)と同時に白参、三七人参、黄耆、石菖蒲、茯苓、遠志の各熱水抽出エキスを処置したところ、遠志以外の5種で軸索が、三七人参のみで樹状突起が有意に伸展した。 2.in vivo神経障害モデルでの実験 (1)Aβ(25-35)をマウスの脳室内に投与することにより作製したアルツハイマーモデルマウスの空間記憶障害に対する各エキスの作用を水迷路試験により検討した。2週間の三七人参、黄耆、石菖蒲(1000mg/kg)の経口投与により、記憶獲得障害が改善する傾向が見られた。断薬7日後に行った記憶保持試験では黄耆と石菖蒲が有意に記憶保持能力を改善した。 (2)Aβ(25-35)投与により海馬・大脳皮質において軸索、樹状突起、前シナプスが減少した。白参と黄耆は大脳皮質において、石菖蒲は海馬と大脳皮質において軸索減少をコントロールレベルまで有意に回復ささせた。黄耆は海馬と大脳皮質における前シナプス減少をコントロールレベルまで有意に回復させた。 (3)白参、黄耆、石菖蒲、茯苓各10gからなる処方、白参を三七人参に変えた処方の各熱水抽出エキスをアルツハイマーモデルマウスに経口投与したところ、前者のみ記憶障害の改善作用が見られた。そこで、前者即ち4種類の生薬からなる処方と各1生薬を抜いた処方の計5処方のエキスを作製し、同様に記憶障害改善作用を検討中である。 3.活性成分の探索 黄耆について、in vitro神経障害モデルを用いて神経突起伸展作用、シナプス再形成作用を指標にして成分を検討した結果、主要な活性成分はAstragalosides I、II、IVであることが判った。
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