2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノテクノロジーを用いた慢性膵炎診断法の開発と膵導管細胞障害原因遺伝子の検討
Project/Area Number |
17659208
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
下瀬川 徹 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90226275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正宗 淳 東北大学, 病院・助手 (90312579)
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Keywords | 慢性膵炎 / 遺伝子 / 膵外分泌 / ナノテクノロジー |
Research Abstract |
本年度は、(1)慢性膵炎患者80人、健常者165人を対象とし、SPINK1遺伝子変異についてdirect sequenceまたはPCR-RFLPにより解析した。(2)SPINK1遺伝子変異による膵炎発症機序を明らかにするため、生検により採取した胃粘膜上皮からtotal RNAを抽出し、逆転写PCR(RT-PCR)法によりSPINK1遺伝子cDNAを全長を増幅した。電気泳動により長短2つのDNA断片を分離、抽出し、direct sequenceにより解析した。(3)臨床情報が得られた[N34S ; IVS1-37T>C]変異陽性患者10例、[-215G>A ; IVS3+2T>C]変異陽性患者8例、変異陰性患者75例を対象とし、症状出現年齢や合併症、治療法などの臨床経過について比較検討した。 [結果](1)主要な遺伝子変異である[N34S ; IVS1-37T>C]変異を、家族性膵炎の3家系(37.5%)や、特発性慢性膵炎の4例(12.9%)、自己免疫性膵炎の1例(33.3%)に認めた。[-215G>A ; IVS3+2T>C]変異は家族性膵炎の1家系(12.5%)、特発性慢性膵炎の5例(16.1%)、アルコール性慢性膵炎の2例(6.2%)に認められ、欧米にくらべ高率であった。(2)[-215G>A ; IVS3+2T>C]変異陽性患者においてexon3領域が欠失したmRNAと欠失のないmRNAを確認した。健常者および[N34S ; IVS1-37T>C]変異陽性患者ではこのexon skippingは認めなかった。(3)[N34S ; IVS1-37T>C]変異陽性患者は変異陰性例と比べて症状出現年齢は平均25歳と若く、主膵管径も平均11mmと拡張が高度だった。治療に関しては、[N34S ; IVS1-37T>C]変異陽性患者では5例(50%)がFrey手術など膵管減圧手術を施行され、変異陰性群の17%に比べ高率であった。
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Research Products
(1 results)