2005 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素による細胞内微量元素分布の変動が肝細胞がん増殖に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
17659209
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松崎 靖司 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (50209532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 裕史 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (70272200)
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Keywords | 鉄 / がん / NO |
Research Abstract |
本研究に先立ち、正常胃粘膜培養細胞系RGM-1に発がん物質MNNGを曝露することによって、がん様変異株RGK-1の樹立に成功した(特願2005-22954)。同株はRGM-1に備えられない腫瘍形成能、非足場依存性、移動能を有する株である。本年度はこのがん・正常間の比較検討が可能なRGM-1/RGK-1を用いて、細胞内の鉄の動態とNOとの関係を検討した。 ヘマトポルフィリン、プロトポルフィリンに^<59>Fe(II)をキレートし、放射性ヘマトヘミンならびにヘミンを作製した。これらの放射性其質を上述の細胞培養系に投与したところ、1)ヘミン、ヘマトヘミン双方でがん優位な取り込みを認め、2)さらに双方でがん細胞有意な排出の低下を認めた。排出に関して、ヘマトヘミンのほうが正常/がん比の乖離が大きかった。これらの細胞を低張液に曝露して破砕し、膜、細胞質、ミトコンドリア、核分画に単離し、液体シンチレーターで放射線量を測定したところ、がんでは核への取り込みが有意に高かった。また、正常で膜分画に放射性が見られ、脂溶性であるヘミンの非特異的付着を示唆すると考えられた。これらの結果は、がんの特異的鉄代謝=核に鉄を能動的に輸送することを示唆していた。 細胞内NOおよび活性酸素を蛍光指示薬DAF2DAを用いて測定したところがんで双方が高値を示した。さらにNO供与体SNAPの投与はがんにおける細胞内の核特異的鉄取り込みを促進したが、正常では認められなかった。以上のことからがんでは特異的にNOによって鉄の細胞内分布が制御されている可能性が示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] Rebamipide significantly inhibits indomethacin-induced mitochondrial damage, lipid peroxidation, and apoptosis in gastric epithelial RGM-1 cells.2005
Author(s)
Nagano Y, Matsui H, Muramatsu M, Shimokawa O, Shibahara T, Yanaka A, Nakahara A, Matsuzaki Y, Tanaka N, Nakamura Y.
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Journal Title
Dig Dis Sci. 50・suppl
Pages: s76-s83
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