2005 Fiscal Year Annual Research Report
潰瘍性大腸炎合併大腸癌に対する新しいサーベイランス法の確立-抗p53抗体の有用性
Project/Area Number |
17659221
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
日比 紀文 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50129623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩男 泰 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (40168547)
井上 詠 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00232546)
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / 大腸癌 / サーベイランス / p53 / ELISA / dysplasia |
Research Abstract |
潰瘍性大腸炎の長期経過例に大腸癌が高率に合併することが知られており、癌化例の早期発見のためにはサーベイランス内視鏡が必須である。高危険群とされるサーベイランス対象症例数は非常に多く、その絞り込みが可能となるマーカーが切望されている。本研究は抗p53抗体に着日し、(1)潰瘍性大腸炎における血清抗p53抗体の測定が、大腸癌・dysplasiaの発見における感度・特異度を検討する、(2)血清抗p53抗体陽性が、罹患年数・罹患範囲とは独立した大腸癌・dysplasiaの危険因子であるかどうかを検討する、(3)血清抗p53抗体陽性という因子によってサーベイランス症例数の絞り込みおよび医療経済的にどの程度有効かを検討することを目的とした。 潰瘍性大腸炎患者202例、健常人63例の血清中の抗p53抗体を、ヒトwild-type p53組み換え蛋白を固層化したanti-p53 ELISA kitを用いて測定した。健常人において抗p53抗体陽性率が1.6%であったのに対し、潰瘍性大腸炎患者では13.9%の陽性率であった。そのうち、colitic cancer、dysplasia合併例では抗p53抗体が84.6%と高率に陽性であった。この結果より、ELISA法を用いた血清中抗p53抗体の測定が組織検体を必要とせず多数の検体を簡便に測定でき、潰瘍性大腸炎症に伴うcolitic cancerの高危険率群の絞り込みに有用である可能性が示唆された。今後、免疫組織化学的検討との比較や、他の高危険因子を含めた多変量解析を行う予定である。
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