2005 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア酸化ストレス制御によるインスリン抵抗性の新たな治療法の開発
Project/Area Number |
17659223
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
筒井 裕之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70264017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 聡 北海道大学, 北海道大学病院, 講師 (90291228)
千葉 仁志 北海道大学, 医学部保健学科, 教授 (70197622)
康 東天 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (80214716)
市川 和洋 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助教授 (10271115)
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Keywords | 遺伝子 / 糖尿病 / 内科 / 細胞・組織 / 循環器・高血圧 |
Research Abstract |
1.インスリン抵抗性が心不全において誘導される 心筋梗塞後心不全モデル動物に、糖負荷を行い、経時的に採血し、血糖とインスリンを測定するとメタボリックシンドロームの基本病態であるインスリン抵抗性が惹起されることが明らかとなった。 2.心不全ではミトコンドリア酸化ストレスとミトコンドリアDNA傷害がみとめられる ミトコンドリアDNAは、個々のミトコンドリア内に複数存在するが、不全心筋のミトコンドリアDNAをサザンプロットにより定量すると、ミトコンドリアDNAコピー数は減少し、さらにミトコンドリアDNAでコードされている電子伝達系複合体サブユニットのmRNAの低下および複合体酵素活性の低下を認めた。一方で、核DNAでのみ構成される複合体IIは、その活性低下を認めないことから、ミトコンドリアにおける活性酸素のターゲットは、ミトコンドリアDNAであると考えられる。 3.ミトコンドリア転写因子A(TFAM)の活性化は、ミトコンドリア酸化ストレスおよびDNA傷害を軽減する ヒトTFAM遺伝子過剰マウスに心筋梗塞後心不全を作成したところ、生存率が改善し、心筋の収縮機能の低下や心筋構築変化が抑えられた。このマウスでは、ミトコンドリアDNAの傷害が抑えられ、ミトコンドリアの機能も正常に保たれていることも確認しており、TFAM発現の活性化によってミトコンドリア機能が傷害から保護されることが明らかとなった。 4,高脂肪食負荷によってインスリン抵抗性が惹起される マウスに高脂肪食負荷を行うと高度の肥満とともに、耐糖能障害がみとめられ、インスリン抵抗性が惹起された。心不全モデルにおけるインスリン抵抗性とミトコンドリア酸化ストレス・DNA障害の関連は、メタボリックシンドロームにおけるインスリン抵抗性においても、同様にみとめられると考えられる。
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Research Products
(7 results)