2006 Fiscal Year Annual Research Report
循環系のオーファン受容体を特異的に細胞内移行させる未知の生理活性ペプチドの探索
Project/Area Number |
17659234
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
桑迫 健二 宮崎大学, フロンティア科学実験総合センター, 助手 (20381098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 和雄 宮崎大学, 医学部, 教授 (50204912)
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Keywords | 新規ペプチド / orphan受容体 / 安定発現系 / 細胞内移行 / FACS解析 |
Research Abstract |
循環系の臓器(ブタ左心房、左心室、肺、腎臓、副腎)の断片を専用の抽出液で10分間煮沸し、十分に冷却した後にホモジナイズした。高速遠心後に得られた上清をろ過し、その一部を凍結乾燥してD-MEM培地(含0.1%BSA)に再溶解したものを2種の安定発現系(class Bのヒトオーファン受容体2種)に個別に添加したが、リガンド依存性の細胞内移行を確認することができなかった。我々が樹立したアドレノメデュリン(AM)受容体サブタイプ(3種)の安定発現系にAMが高濃度存在するブタ副腎の抽出液を添加したところ、いずれの受容体も速やかに細胞内移行したことから、方法論やアッセイの手順に問題はないと思われる。(1)たまたま細胞内移行を惹起しないオーファン受容体を選択してしまった可能性、(2)受容体の細胞膜発現が強すぎる可能性(一般に、受容体の細胞膜発現が強いほどリガンド依存性の細胞内移行を惹起しにくい)、(3)リガンドの塩基性や疎水性が高いためにビーカーやチューブに吸着してしまった可能性、(4)リガンド内にCys-Cys結合が存在する場合、その結合が酸化などによる開裂で活性を失っている可能性、(5)組織抽出液中の標的物質の濃度が低い可能性などが考えられる。それぞれに対して、我々は次のような対策を講じている。(1)他のオーファン受容体の安定発現系を獲得する。(2)上記の2つのオーファン受容体において、FACS解析で細胞膜発現の最も弱いクローンを用いる。(3)ペプチドの吸着を抑えるTriton(細胞毒性が高いのでアッセイ前に除去)を加えるかBSA濃度を上げる。(4)サンプルが酸化されないよう注意する。(5)組織抽出液を大量に獲得し、濃縮する。 一般に、リガンドと結合したG蛋白共役型受容体のほとんどが、様々な分子(プロテインキナーゼA(PKA)やPKCなど)と干渉することが知られているが、オーファン受容体の異分子間干渉を標的にして新規生理活性ペプチドを同定したとする報告は皆無である。そこで、我々は上記のオーファン受容体の安定発現系にPKAとPKCを別々に安定発現させた二重安定発現系を樹立して、FRET解析で蛋白間の干渉を認めた分画の精製を目指すべく研究も展開している。
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