2006 Fiscal Year Annual Research Report
イメージングマスによる肺癌及び特発性肺線維症の発症・進展の分子機構に関する検討
Project/Area Number |
17659244
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柳澤 聖 名古屋大学, 高等研究院, 特任講師 (20372112)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 秀太 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 助手 (10372111)
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Keywords | プロテオミクス / バイオインフォマティクス / 質量分析器 / 発現プロファイリング / ヒト肺癌 |
Research Abstract |
ヒト肺癌の発症・進展の分子機構の解明に寄与する事を目指して、本年度は以下の成果を得た。 1.マトリクス支援レーザー脱離イオン化質量分析器(MALDI MS)を応用し、174症例の非小細胞肺癌(NSCLC)から手術摘出された腫瘍組織(training cohort;116検体,test cohort 58検体)及び正常肺組織(27検体)計201検体を用いた直接的網羅的タンパク発現プロファイル解析を遂行し、training cohortにおける検討結果から、2600種類以上の異なるタンパク発現情報を取得した。 2.取得したタンパク発現情報に基づき、NSCLC術後予後予測を可能とするプロファイルの抽出を、バイオインフォマティクス手法を最大限に活用する事により行い、NSCLC術後予後に有意に関連の認められる178個のタンパクからなる発現プロファイルを見出した。 3.上述の予後関連タンパク発現プロファイルに基づき、NSCLC術後予後予測モデルの構築を目指し、weighted voting法を応用し、10-fold cross validationによるモデル最適化を行った結果、25個のシグナルを用いた予測モデルの構築に至った。この予測モデルの汎用性の検証を、58症例からなるtest cohortから取得されたデータセットを用いて行った結果、予測モデルを用いた判別に基づくoverall survivalは、High-risk群(中間生存=24か月)と、Low-risk群(中間生存=未達)との間で統計的学的有意差を認め(P<0.001)、その高い予測精度が独立したデータセットにおいても確認された。これらの成果は、MALDIMSを用いたタンパク発現プロファイル解析が、臨床試料に応用可能であり、予防・診断・治療法の開発に向けた分子標的の探索に有用である可能性を示すものと考えた。
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