2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17659245
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
河野 茂 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (80136647)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東山 康仁 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (30304926)
|
Keywords | 誤嚥 / β-D-グルカン / 肺炎 / 高齢者 |
Research Abstract |
高齢者は誤嚥を契機にした肺炎を引き起こしやすい。誤嚥性肺炎のわが国での疫学的調査は明らかでないが、米国における調査では、市中肺炎の5〜15%は誤嚥が原因の肺炎であり、高齢者における肺炎の予防、治療の戦略的介入に対して誤嚥の評価法が不可欠と考えられる。誤嚥の存在に対する診断法には、飲水試験、嚥下誘発試験、ビデオフルオログラフィー、Radioisotope(RI)を用いた睡眠中の誤嚥検査があるが、専門の施設に限られ、一般には普及していない。そのような状況のなかで、我々は、誤嚥後に1,3-β-D-グルカンの血中濃度が正常値(20pg/ml以下)を大きく超えて高値を示した症例を経験した。その原因の検索のため誤嚥した経口栄養剤そのものの1,3-β-D-グルカンを計測したところ、28,600pg/mLと極めて高い値を示し、大豆が主成分である経口栄養剤の誤嚥がその原因と考えられた。それに比較して、経胃的に経口栄養剤を投与している患者5名の血中の1,3-β-D-グルカンを測定しても12.3pg/ml、18.1pg/ml、16.7pg/ml、21.2pg/ml、18.4pg/mlとほぼ正常範囲であった。以上のことから、経口(経食道)的に摂取された1,3-β-D-グルカンは血中にはほとんど移行しないが、経気道的に摂取された場合には移行する可能性が示された。そこで、さらに、誤嚥の簡易診断法の開発を目指して、マウスは6週齢雄のddyマウスに1,3-β-D-グルカンであるCM-Curdlanを経口投与および経気管投与を行い翌日血中のβ-D-グルカン濃度を測定した。経口投与した群では、21.1±28.9pg/mlを示したが、経気道投与を行った群では13,200±15,300pg/mlと極めて高い値を示し、β-D-グルカンが経口的には吸収されず、経気道的にのみ吸収されることが確認された。
|