2005 Fiscal Year Annual Research Report
気道の炎症性疾患における気道粘膜透過性亢進の機序とその治療戦略について
Project/Area Number |
17659246
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
金子 猛 横浜市立大学, 医学部, 準教授 (90275066)
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Keywords | 気道粘膜透過性 / HO-1 / 喘息 / 好酸球 / Hemin / ZnPP / モルモット |
Research Abstract |
本研究では、われわれの開発したモルモットの分離気管腔を用いた気道粘膜透過性の定量法を用いて、以下の結果を得た。 モルモットにOVAを感作・曝露して作成した喘息モデルにおいて、気道粘膜透過性が曝露後12時間後より亢進し始め、24時間後にピークとなり、曝露後7日後には気道粘膜透過性の亢進が消失した。曝露後4時間(曝露後早期)では、気道粘膜透過性の亢進はみられなかったが、HO-1の阻害薬であるZnPPの前投与により、気道粘膜透過性が亢進した。曝露後4時間では、気道粘膜に軽度の、24時間後では著明な好酸球浸潤を認めた。またHO-1のinducerであるHeminを前投与することで、気道粘膜透過性の亢進を抑制し、気道上皮の好酸球の浸潤も減少したことから、気道上皮への好酸球浸潤が気道粘膜透過性亢進に寄与している可能性が示唆された。さらに、ZnPPをHeminの前に追加投与すると、Heminの気道粘膜透過性の抑制効果が消失し、また好酸球浸潤抑制も打ち消す傾向が見られた。以上より、喘息モデルにおいて内因性のHO-1を惹起して気道粘膜透過性の亢進を抑制する働きを示し、HO-1が透過性亢進による様々な症状発現に対する保護としての重要な役割を担っていることを示唆している。曝露後早期であれば、好酸球性炎症によって誘導された内因性HO-1が、好酸球性炎症が軽度であり、これによる気道粘膜透過性の亢進が完全に抑制されており、曝露後後期では、好酸球性炎症が増悪し内因性HO-1の抗炎症性効果を凌駕し、その結果粘膜透過性が亢進したと考えられた。しかしinducerを用いてHO-1を誘導すると好酸球性炎症の減弱が生じ、粘膜透過性の亢進が抑制された。このことは、HO-1は気管支喘息の病態において好酸球性炎症を抑制し、気道粘膜透過性亢進を抑制することで、その有用な治療手段の一つとなる可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)