2005 Fiscal Year Annual Research Report
肺高血圧ラットモデルにおけるグレリンの抗炎症作用に関する検討
Project/Area Number |
17659247
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
木村 弘 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20195374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 薫 奈良県立医科大学, 医学部, 助教授 (80228535)
玉置 伸二 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (30347546)
須崎 康恵 奈良県立医科大学, 附属病院, 医員 (30382302)
米田 和之 奈良県立医科大学, 附属病院, 医員 (70405380)
永谷 憲歳 国立循環器病センター, 研究所, 部長 (60372116)
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Keywords | Ghrelin / 慢性低酸素 / 摂食亢進作用 / 肺血管リモデリング / 右室肥大 / 肺高血圧症 |
Research Abstract |
Ghrelinは成長ホルモン放出促進因子受容体の内因性リガンドとして胃組織より発見された成長ホルモン分泌因子であり、その摂食亢進作用から、体重減少が著明なCOPD患者への投与効果も検討されている。一方で、呼吸不全患者で問題となりうる肺循環系に及ぼす効果については、必ずしも明らかになっておらず、Ghrelinの有する成長ホルモン分泌促進作用から、心筋細胞や血管平滑筋細胞の増殖性機序を介して右室肥大や肺血管リモデリングが促進し、肺高血圧症を進展、増悪させる可能性も否定しきれない。そこで、本研究では、Ghrelinの肺循環系に対する作用を明確にすることを目的として検討を行った。 5週齢の雄SDラットを用い、3週間の低酸素チャンバー(FiO2=0.1)内で慢性低酸素曝露おこない、低酸素性肺高血圧モデルラットを作成し、Sham群(Normoxiaラットに生食を投与)、Control群(Hypoxiaラットに生食を投与)、Ghrelin群(Hypoxiaラットに100μg/kgのGhrelinを投与)間の比較検討を行った。その結果、慢性低酸素曝露にて体重増加の抑制作用、右室肥大および肺動脈中膜肥厚がもたらされたが、Ghrelin投与はこれらに対して改善効果を認めなかった。このことから、低酸素曝露による肺血管のリモデリング作用は、Ghrelinの抗炎症作用とは別の機序で生じていると考えられた。また、右室肥大および肺動脈中膜肥厚に対する増悪効果は認められず、Ghrelinが肺高血圧の進展を助長させることはなかった。これより、Ghrelinの成長ホルモン分泌促進作用は、肺循環系へ悪影響を生じないことが示唆された。
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