2005 Fiscal Year Annual Research Report
循環調節ペプチドを用いた新たな難治性肺疾患治療の開発
Project/Area Number |
17659250
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
永谷 憲歳 国立循環器病センター(研究所), 再生医療部, 部長 (60372116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寒川 賢治 国立循環器病センター(研究所), 副所長 (00112417)
盛 英三 国立循環器病センター(研究所), 心臓生理部, 部長 (90146598)
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Keywords | 急性肺障害 / アドレノメデュリン / アポトーシス / 肺血管透過性亢進 / 炎症 / サイトカイン |
Research Abstract |
急性肺障害は肺毛細血管のびまん性障害に起因する難治性肺疾患であり、炎症と肺血管透過性亢進、アポトーシスが病態悪化に関与する。アドレノメデュリン(AM)は強力な血管拡張ペプチドとして発見された循環調節ペプチドであるが、その後の研究により抗炎症作用、血管透過性亢進抑制作用、抗アポトーシス作用を合わせ持つことが明らかとなった。そこで成人呼吸促迫症候群(ARDS)らの急性肺障害に対するAMの治療効果を検討するために、リポポリサッカライド(LPS)を用いた急性肺障害ラットに対するAMの効果を検討した。LPS (1mg/kg)気管内投与による急性肺障害モデルラットを作成し、生理食塩水またはAMを持続静注した。LPS投与6時間後と18時間後に、肺障害の評価として肺重量測定と肺組織の病理学的解析を行った。また、気管支洗浄液(BALF)中の好中球数と炎症性サイトカイン(TNF-α,CINC)濃度の測定、血管透過性亢進の指標としてBALF中のアルブミン、総タンパク濃度の測定、アポトーシス検出のための免疫染色を行った。LPS投与により、肺重量の増加、著明な肺組織障害を認めたが、AM投与によりそれらの変化は有意に抑制された。また、AMはLPS投与により増加したBALF中の好中球数、TNF-α、CINC、アルブミン、総タンパク濃度を有意に減少させ、また肺胞壁内の細胞アポトーシスも抑制した。以上より、AMは抗炎症、肺血管透過性抑制、抗アポトーシスらの作用を介してLPSによる肺障害を抑制することが示された。これらの結果より循環調節ペプチドとして知られるAMが、急性肺障害とくに難治性肺疾患であるARDSの新たな治療薬となる可能性が示唆された。
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