2006 Fiscal Year Annual Research Report
循環調節ペプチドを用いた新たな難治性肺疾患治療の開発
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17659250
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
永谷 憲歳 国立循環器病センター(研究所), 再生医療部, 部長 (60372116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寒川 賢治 国立循環器病センター(研究所), 研究所, 副所長 (00112417)
盛 英三 国立循環器病センター(研究所), 心臓生理部, 部長 (90146598)
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Keywords | 急性肺障害 / アドレノメデュリン / アポトーシス / 肺血管透過性亢進 / 炎症 / サイトカイン |
Research Abstract |
成人呼吸促迫症候群(ARDS)と肺動脈性肺高血圧症(PAH)に対する新規の治療法開発を行った。(1)ARDSなどの急性肺障害は、肺毛細血管の炎症と肺血管透過性充進、アポトーシスに起因する難治性肺疾患である。血管拡張作用をもっ循環調節ペプチドとして発見されたアドレノメデュリン(AM)は、近年、抗炎症作用、血管透過性充進抑制作用、抗アポトーシス作用を持つことが示された。そこでリポポリサッカライド(LPS)を用いた急性肺障害ラットに対するAMの治療効果を検討した。AM持続投与はLPSにより生じる肺組織障害、肺胞洗浄液(BALF)中の炎症細胞浸潤や炎症性サイトカインの増加、血管透過性の指標となるBALF中の蛋白濃度上昇を有意に改善させ、肺胞壁細胞のアポトーシスも抑制した。また、これらの効果は重篤な血圧低下を起こさない投与量で認められた。AMは急性肺障害、特にARDSの新たな治療薬となる可能性が示された。(2)PAHは進行性に肺血管抵抗が増加し、右心不全から死に至る難治性肺疾患である。既存薬のプロスタサイクリン(PGI_2)は代謝時間が極めて短いために持続投与が必要であり、治療抵抗例も存在する。そこで徐放型PGI_2アゴニストを開発し、モノクロタリン(MCT)を用いた肺高血圧ラットへの治療効果を検討した。PLGAでポリマー化された製剤は1回の皮下投与で血中薬物濃度と、セカンドメッセンジャーであるcAMPの血中濃度を約3週間上昇させた。また、1回の皮下投与でMCT投与により生じる右室収縮期圧の上昇、右室肥大、肺動脈中膜肥厚を改善させた。これらの効果は血管拡張作用に加えて、この製剤が新たにもつトロンボキサン合成酵素阻害作用、細胞増殖シグナル(ERKのリン酸化)抑制作用を一部介したものであることが示唆された。この徐放型PGI_2アゴニストはPAHに対する新たな治療薬となる可能性が示された。
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[Journal Article] CNP infusion attenuates cardiac dysfunction and inflammation in myocarditis. Biochem Biophys Res Commun.2007
Author(s)
Obata H, Yanagawa B, Tanaka K, Ohnishi S, Kataoka M, Miyahara Y, Ishibashi-Ueda H, Kodama M, Aizawa Y, Kangawa K, Nagaya N
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Journal Title
Biochem Biophys Res Commun. 27・356
Pages: 60-66
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