2005 Fiscal Year Annual Research Report
ギャップ結合を介した細胞間コミュニケーションの炎症性腎障害における役割
Project/Area Number |
17659255
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
姚 建 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助教授 (50303128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 正敬 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (90333062)
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Keywords | 腎臓 / 薬理学 / シグナル伝達 / 抗生物質 / 尿細管上皮細胞 / 細胞毒性 / ギャップ結合 / コネキシン |
Research Abstract |
腎組織障害とその修復には、様々なメディエーターや接着分子を介した複雑な細胞間相互作用が寄与することが知られている。しかし、隣接する腎細胞でシグナル分子の直接的な遣り取りを司るギャップ結合の役割は、まだ十分に解明されていない。われわれは、腎臓の近端小管由来NRKとLLCPK1細胞株を用いてギャップ結合と細胞障害の関与を検討した。 1.腎細管由来NRKにおいては、機能的なギャップ結合が存在することをdye transfer assayを用いて示した。さらに、ギャップ結合蛋白であるコネクシン43が存在することを蛍光抗体法及びウエスタンブロッテイグ法を用いて明らかにした。NRK細胞に18a-glycyrrhetinic acid, heptanol, octanolなどのギャップ結合阻害剤を加えるとギャップ結合を介した細胞間コミュニケーションが完全に抑えられた。もう一つの腎細管由来LLCPK1細胞には、コネクシン43は存在せず、機能的なギャップ結合も認められなかった。 2.培養腎上皮細胞に細胞死を誘導する抗生物質G418を作用させ、MTT法によるformazan産生量、ならびに細胞からの乳酸脱水素酵素(LDH)遊出量を、細胞障害の指標として測定した。培養細胞にG418を作用させると、MTT formazan産生量は低下し、LDH遊出量は増加した。これらの変化はギャップ結合をもつNRK細胞のほうが顕著に観察された。 3.heptanolなどの各種ギャップ結合阻害剤はG418による細胞毒性を有意に抑制した。逆に、ギャップ結合蛋白の過剰発現は細胞死を促進することを明らかにした。 以上の結果から、ギャップ結合を介した細胞間コミュニケーションは抗生物質による腎上皮細胞障害に深く関わることが示唆された。現在、その詳細なメカニズムを解析中である。
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