2005 Fiscal Year Annual Research Report
発生工学的手法を用いた白血病関連転写因子の機能解析
Project/Area Number |
17659295
|
Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
三谷 絹子 獨協医科大学, 医学部, 教授 (50251244)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 和宏 獨協医科大学, 医学部, 講師 (50337391)
佐々木 光 獨協医科大学, 医学部, 助手 (60282638)
|
Keywords | AML1 / Evi1 / 急性巨核芽球性白血病 / 血小板ペルオキシダーゼ / ノックインマウス / キメラマウス / 転写因子 |
Research Abstract |
AML1/Evi1は急性巨核芽球性白血病(AML-M7)あるいは造血幹細胞腫瘍の急性転化で観察されるt(3;21)(q26;q22)の結果形成されるキメラ型転写因子遺伝子である。当研究室で作製されたAML1/Evi1ノックインヘテロマウスは、中枢神経系の出血により胎生致死となり、胎仔肝造血が廃絶している。しかしながら、コロニー・アッセイにより、AML1/Evi1ノックインマウスの胎仔肝には、分化異常があり(赤芽球には分化せず、異形成のある骨髄球および巨核球にのみ分化する)、自己複製能の亢進した造血前駆細胞が残存していることが明らかになった。 一方、AML1/Evi1キメラマウスは2系統のEs細胞から作製されているが、すでに死亡している6個体はいずれも出生後8ヶ月以内に死亡した。最初に死亡した5個体には肝脾腫を認めず、その死因は明らかではなかった。最後に死亡した1個体は出生後5ヶ月で死亡しており、死亡時には著明な肝脾腫が認められた。脾臓のスタンプ標本には多数の白血病細胞の浸潤が認められた。肝臓・脾臓の組織像でも同様であり、播種性血管内凝固症候群を合併していた。白血病細胞は一部多核であり、血小板ペルオキシダーゼ反応が陽性であることから、このマウスは急性巨核芽球性白血病を発症していたと結論された。これはAML1/Evi1がヒトで発症させる白血病と同じ表現型である。今後キメラマウスの観察を継続する予定であるが、AML1/Evi1はAML1/ETOと異なり、ワン・ヒットで白血病を発症させる可能性が示唆された。さらに、現在AML1/Evi-1ノックインコンディショナルベクターを構築中であり、後天的にAML1/Evi1を発現させた際の白血病発症の有無についても解析する予定である。
|
Research Products
(6 results)