2005 Fiscal Year Annual Research Report
小児ミトコンドリア病の表現型を決定する遺伝的因子について
Project/Area Number |
17659307
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
須藤 彰 北海道大学, 大学院・医学研究科, 客員研究員 (90374412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 伸治 北海道大学, 北海道大学病院, 講師 (00281824)
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Keywords | ミトコンドリア病 / MELAS / Leigh症侯群 / アンチコドン修飾異常 / タウリン修飾 / 呼吸鎖酵素複合体I / ND5,ND6遺伝子 / ロイシン転移RNA |
Research Abstract |
本研究の目的は、ミトコンドリアDNAの異常と、表現型との間の関係を明らかにすることである。最近、tRNA領域内の変異のうちMELASの表現型を持つものでは、tRNAのアンチコドンタウリン修飾が欠落していることが判明し、それが呼吸鎖複合体Iの活性低下につながるという説明が可能となり注目されている。すなわち、ロイシン転移RNAの修飾不全によりコドンUUGの取り込みが阻害され、このコドンを最も多く使用しているND6(複合体Iの構造蛋白の1つ)の合成が早期に障害を受けると推定される。そこで、我々は小児期に発症する代表的なミトコンドリア病であるLeigh症侯群とMELASの両方の表現型を持ちうるミトコンドリアDNA13513変異に関しても、tRNAのアンチコドン修飾に違いがあるかどうか検討した。この研究に関しては、国立精神・神経センター神経研究所で保管されている凍結筋を用いて行った。MELASと診断された9症例とLeigh症侯群と診断された6症例につき、それぞれの骨格筋からRNAを抽出しKirinoらの方法でロイシン転移RNAのアンチコドン修飾の状態を検出した。その結果、13513変異を有する場合は、ロイシン転移RNAの修飾不全はなく、MELASとLeigh症侯群との間に差はなかった。13513変異はND5遺伝子上に存在しND6と同様に複合体Iの重要な構成蛋白であるため、変異による複合体Iの活性低下がMELASやLeigh症侯群の臨床症状の発現の重要な要因であることは確実であるが、13513変異のあるMELASでアンチコドン修飾不全を伴っていなかったことから、この修飾不全がMELASに共通する障害経路ではなかったことが明らかになった。
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Research Products
(3 results)