2006 Fiscal Year Annual Research Report
エピジェネティクスに基づく小児自閉症の神経病態解明のための萌芽的アプローチ
Project/Area Number |
17659311
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
久保田 健夫 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 教授 (70293511)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長井 薫 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 助教授 (20340953)
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Keywords | 遺伝子 / 神経科学 / 脳神経疾患 / 発現制御 / 発生・分化 |
Research Abstract |
【研究目的】 本研究の目的は、自閉症の発症メカニズムをエピジェネティクス機構の破綻と定義し、その脳病態を明らかにすべく「MeCP2異常に起因する脳細胞の異常」と「MeCP2蛋白機能不全による異常発現遺伝子」を具体的に明らかにすることである.今年度は「MeCP2蛋白機能不全による異常発現遺伝子」を明らかにする研究を行った. 【研究成果】 1.がん細胞において、MeCP2蛋白が結合しかつDNAがメチル化されている領域がヒトゲノム上に22カ所存在することを、ゲノムマイクロアレイにより明らかにした. 2.この22箇所のうち、ゲノムデータベース探索で、5カ所に神経関連遺伝子が存在することを明らかにした. 3.5つの神経関連遺伝子のうち、上流領域にMeCP2蛋白の結合コンセンサス配列が有する遺伝子が4つ存在することを明らかにした. 4.4つの遺伝子のうち、3つにおいてMeCP2が結合していることを、神経系培養細胞においてクロマチン免疫沈降法で明らかにした. 5.3つの遺伝子のうち、2つで神経系細胞における強度のメチル化を明らかにした. 以上の結果から、この2つの遺伝子がMeCP2蛋白に制御を受けていることが推測された.この結果とMeCP2蛋白の制御不全が遺伝性自閉症(Rett症候群)の発症に関わりうることを考えあわせると、今回得られた2つの遺伝子が自閉症に関わっている可能性が示唆された. これらの遺伝子が自閉症に関わっているかをさらに明確にする研究が必要と考えている.
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Research Products
(6 results)